2023.04.20
太陽光
太陽光発電のリスクについて【徹底解説】
更新日:2023年4月18日
みなさん、こんにちは。久野商事の久野です。
最近、再生可能エネルギーとして太陽光発電が注目されています。
太陽光発電は自然災害が多い日本でおこなう場合、リスクが高いため事前に理解することが重要になります。
実際、太陽光発電は保険や補償などもあるため、今回は太陽光発電のリスクから保険や補償内容について解説していきます。
目次
自然災害による被害例について
はじめに国内の自然災害による被害について説明します。
日本の自然災害について
日本での自然災害発生数は、2000年以降だけで44件発生しています。
理由として、全世界の面積に対して日本の面積は0.28%しかありませんが、全世界で起きたマグニチュード6以上の地震は全体の20.5%が日本で発生しており、全世界の活火山の7.0%が日本にあります。
引用元:国土技術研究センター「自然災害の多い日本」
自然災害で起きた事故の内訳紹介(2021年時点)
2021年度に発生した事故は12,533件と報告されています。
うち11,832件は電気事業者と発電所や送電線などの事故で、701件は自家用設置者からの被害報告になります。
引用元:経済産業省「事故・防災情報」
主な事故の内容は太陽光パネルや発電機、送電線などの設備の破損が大半を占めています。その次に停電が多く次に感電が51件、火災の事故発生数になっております。
また、太陽光発電での事故は、水力発電や火力発電と比べると非常に少ない事故発生数になります。
2017年度から太陽光発電の事故数は減少していますが、事故のない発電を目指すためにも、自然災害や不測の事態に対策をしていくことが大切になります。
引用元:経済産業省「事故・防災情報」
①火災事故
2021年度の火災事故は計11件ありました。
太陽光発電は自然災害による火災だけでなく、ホットスポットといわれる現象によっても引き起こされる可能性があります。
ホットスポットについてはコチラの記事をご覧ください。
②感電事故
感電による死傷事件は計52件発生しており、そのうちの38件は家庭用の太陽光発電設備で発生した事故になります。
③発電設備の破損
パネルなどの太陽光設備の破損は8,744件発生しました。
自然災害によりパネルだけでなく、制御回路や変電器が破損して第三者へケガを負わせるなどの2次災害にもつながっています。
④停電(波及事故)
太陽光設備の故障や破損による停電は16件報告されています。
引用・出典元:経済産業省「事故・防災情報」「電力安全課 自然災害の対応」
自然災害後の対応策について
万が一、自然災害が起きた場合の対応策について紹介していきます。
自然災害後は発電設備からの漏電や火災だけでなく、パネルなどの飛散によるケガをする恐れがあり、発電所に近づくことは非常に危険になります。
そのため、自身で対応はせず、迅速に消防に通報し、近隣住民に知らせるなどの対応をしましょう。
尚、被害によって太陽光発電の稼働停止をする場合、資源エネルギー庁に変更届などを提出する必要があります。
詳しくは資源エネルギー庁のサイトをご確認ください。
ハザードマップで事前調査
ハザードマップは住んでいる場所の災害リスクを、地図上で確認することができるサイトになります。
事前に洪水や土砂災害、津波の到達リスクなどを一度に確認したり、地形分類として、土地の成り立ちや地形による自然災害リスクも表示されます。
そのため、発電所や自宅のハザードマップを確認して、災害リスクを把握しておきましょう。
以下のハザードマップは渋谷駅の例になります。
出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
太陽光施工業者の選定
過去の災害被害では、同じ地域でも被害の有無が存在しており、設置工事をおこなった業者の技術が原因で起きた事例があります。
そのため、初期費用を抑えた業者選定はせず、実績のある業者選定が重要になります。
保険に加入する
保険はいくつかありますが、太陽光発電を設置する地域の災害リスクを確認後、保険に加入することをおすすめします。
場合によっては複数保険の組み合わせをするケースもありますが、次の章で解説していきます。
太陽光発電の保険と補償内容について
太陽光発電の保険や補償内容について解説していきます。
太陽光発電の保険加入について
資源エネルギー庁から発行された「事業計画策定ガイドライン」では以下の定義があります。
『出力 10kW 以上の太陽光発電設備の場合、災害などによる修繕や撤去、処分にそなえ、火災保険等に加入するように努めること。』
これは「保険加入の努力義務化」といわれており、「加入しなければならない」という義務化ではなく、加入をするよう「努めること」を義務化したガイドラインになります。
太陽光発電の保険加入は義務として定められてはいません。
しかし、実際に災害被害にあった際、ご自身のためにも保険に加入することをおすすめします。
また、太陽光設備の修復や処分の費用だけでなく、第三者へ被害をおよぼしてしまった場合の賠償金などを補填するためにも、保険の加入は前向きに検討しましょう。
保険の内容について
ここでは資源エネルギー庁のホームページに掲載されている、3社の保険商品について紹介していきます。
①損害保険ジャパン株式会社
火災保険(企業総合補償保険)
自然災害によりパネルなどが破損したり、事故による発電の停止による売上減少の利益損失を補償します。
損傷した太陽光パネルの修復や処分について提携業者を紹介するサービスがあります。
施設所有管理者賠償責任保険
太陽光発電で発生した事故により、第三者の身体や所有物に対して損害をあたえた場合に、法律上の賠償責任による負担を補償します。
②東京海上日動火災保険株式会社
太陽光発電協会(JPEA)の保険制度
発電設備の異常、または破損などにより地域への被害が発生した場合の第三者への賠償責任を基本補償としています。
その他、撤去及び処分費用の補償もオプションで選択することができます。
企業総合保険(財産補償条項)
火災、落雷などの偶然な事故による損害を補償します。
事故の際の修理や再取得のためにかかる費用、取り片付け費用等が対象となります。
施設賠償責任保険
第三者への賠償責任を補償します。
③三井住友海上火災保険株式会社
ビジネスキーパー(事業活動総合保険)
設備の破損への補償と災害により発電所を休業した際の補償を基本保障としています。
その他、オプションで賠償リスクや地震に特化した補償も選択することができます。
施設所有(管理)者賠償責任保険
発電設備の自然災害でおきた事故によって、第三者へ賠償責任が発生した場合や土砂崩れなどで公道に被害を及ぼした際などの賠償責任が対象になります。
詳しくは各社のホームページからお問い合わせください。
引用元:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化について」
保険選びのポイントについて
保険を選ぶ際のポイントを紹介していきます。
近隣の環境(建物、住宅、歩行者の有無)
災害によって、火災や漏電、土砂崩れなどのリスクがあります。
発電所の周囲に住宅や公道などがある場合、2次災害の可能性が高いため、周囲の環境によっては賠償責任保険に加入するとよいかもしれません。
年間の保険料
太陽光発電用の保険は補償額も大きい分、年間の保険料も高額になります。
その他、太陽光発電の運用には定期的なメンテナンス費用が発生するため、金銭状況に合わせた保険の加入が大切になります。
保険の補償内容
保険会社によっては、基本プランにオプションとして補償を追加することでそれぞれの状況にあった保険を作成することができます。
発電所エリアの災害リスクや環境をもとに適切な補償内容を決めましょう。
まとめ
今回、自然災害が起きた場合の太陽光発電のリスクについて解説していきました。
自然災害が多い日本ですが、保険などの加入が義務化されていないため、まだまだ整備されていない状況になります。
個人的にはいつ起きてもおかしくない状況の中で保険に加入しないことはリスクがあると考えています。
実績の多い業者に施工を依頼し、自身でも設置地域を事前に調べて保険に加入することが被害を最小限に抑える対策ではないでしょうか。
防災対策のみならず、獣害や防獣対策として太陽光発電についてお困りのことがありましたら、久野商事にお気軽にお問い合わせください。