2021.12.23

お役立ちコラム 太陽光

太陽光発電における蓄電池について【初心者向け】

アイキャッチ(太陽光の蓄電池)

更新日:2023/10/23

みなさん、こんにちは。
久野商事の久野です。

近年、地球温暖化や電気代の高騰により、再生可能エネルギーが注目を集めています。
中でも、個人でも気軽に始められる太陽光発電を導入する方が増えています。

一方で太陽光発電と一緒に蓄電池について、導入するべきなのか分からないというお問い合わせも増えています。

そこで今回は、蓄電池について知りたい方を対象に、蓄電池について説明します。

太陽光発電と蓄電池の関係について

まず初めに太陽光発電と蓄電池の関係について説明します。

太陽光発電の蓄電池は、太陽光パネルで発電した電気を貯めておくことができる装置になります。

太陽光パネルで発電した電気は、パワーコンディショナーを通して自家消費したり、電力会社に売電したりしますが、その際に余った電力(余剰電力)は廃棄されます。

蓄電池を導入することで、余剰電力を貯めることができ、太陽光パネルが発電しない夜間に利用したり、非常用電力として利用することができます。

太陽光発電と蓄電池の関係について

蓄電池の種類について

次に、蓄電池の種類についてご説明します。

現在、住宅用太陽光発電システム用に利用されている蓄電池のほとんどが、リチウムイオン電池になります。

リチウムイオン電池は、軽量で高いエネルギー密度を持ち、効率的に太陽光発電のエネルギーを保存することができます。

蓄電池の種類について、詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。

蓄電池のタイプについて

次に、蓄電池のタイプによる機能の違いをご説明します。

◾️「全負荷型」と「特定負荷型」

基本的に特定負荷型も全負荷型も、通常時は家全体に電気を供給しています。
災害などで停電が起こった際、家全体に電気を供給できるのが[全負荷型]蓄電池で、事前に決めておいた特定の場所にだけ電気を供給するのが[特定負荷型]蓄電池になります。

「全負荷型」と「特定負荷型」

◾️「単機能型」と「ハイブリッド型」

単機能型蓄電池とは、太陽光パネル用のパワーコンディショナ(パワコン)と蓄電池用パワコンが別々になっているものを指します。
一方で、太陽光発電と共通のパワコンを使う蓄電池をハイブリッド型蓄電池といいます。

単機能型蓄電池は太陽光発電を設置していなくても導入が可能な蓄電池になります。
災害時の非常用電源を確保したり、電気代を削減することができるため、蓄電池は導入したいが、太陽光発電の導入は考えていないという方にもおすすめとなります。

ハイブリッドタイプの蓄電池は、1台で太陽光発電と蓄電池に対応できるため、設置スペースを節約し、電気の利用効率を高める効果があります。

しかし、既に太陽光発電システムを設置済みで、更に自家消費用に蓄電池を導入する場合、ハイブリッド型蓄電池にすると、太陽光発電用のパワコンを撤去しなければいけません。

単機能型蓄電池なら、蓄電池用のパワコンと蓄電池を一緒に導入するだけですので、太陽光発電用のパワコンをそのまま使用する事ができ、撤去代がかかりません。

「単機能型」と「ハイブリッド型」

蓄電池の利用可能時間について

次に、蓄電池の利用可能時間をご紹介します。

5kWhの蓄電池でも、使用する電化製品によって電力を使える時間は異なります。

◾️全負荷型で普段通りに電化製品を使用した場合

使用する電化製品1時間当たりの消費電力1日の使用時間1日の消費電力
冷蔵庫33W24時間792W
LED電球照明80W(2部屋分)5時間400W
テレビ150W3時間450W
携帯充電器15W4時間60W
パソコン100W5時間500W
炊飯器150W1時間150W
エアコン500W3時間1,500W

1日の消費電力
792W+400W+450W+60W+500W+150W+1,500W=3,852W
電力を使用できる時間
5,000Wh÷3,852W=1.29日

1日の消費電力を3,852Wと仮定すると、5kWhの蓄電池で使用できる時間は約1.3日です。

◾️災害時、特定負荷型で最低限の電化製品を使用した場合

使用する電化製品1時間当たりの消費電力1日の使用時間1日の消費電力
冷蔵庫33W24時間792W
LED電球照明80W(2部屋分)5時間400W
テレビ150W3時間450W
携帯充電器15W4時間60W

1日の消費電力
792W+400W+450W+60W=1,702W
電力を使用できる時間
5,000Wh÷1,702W=2.93日

1日の消費電力は1,702Wなので、5kWhの特定負荷型蓄電池で約3日分の電力をカバーできることが分かります。

設置場所について

一般的な蓄電池は小容量は屋内設置、中〜大容量の場合は屋外設置が基本になります。

塩害で機器故障リスクのある沿岸部などにも設置可能な、重塩害対応タイプも販売されています。

家庭用蓄電池のメリットについて

次に、家庭用蓄電池のメリットについて、説明します。

◾️電気代が安くなる

太陽が出ているときに発電した電力を貯めて、夜に利用することで電気代を節約することができます。
なお、太陽光発電は天候などの影響で十分に発電できない可能性もあるため、完全に太陽光発電に切り替えることはおすすめできません。

また、電力会社の夜間使用が割安になる電気料金プランを利用している場合、電気料金が安い時間に蓄電池に電気をためて、日中に使用することで電気代を節約することが可能となります。

◾️災害時や停電時に利用出来る

蓄電池に電力を貯めることで、いざという時の非常用電源として利用できます。

自然災害などで電気が遮断されると、1週間ほど電力が使えない状況に陥ることもあります。

その際に蓄電池があることで、電気インフラが停止していても、一定時間は電気を活用することができます。

◾️売電単価が下がっても自家消費できる

固定価格買取制度が終了を迎え、卒FITする家庭が増えています。

卒FIT後は売電価格が大きく下がるため、発電した電気を売るのではなく、貯めて使うことで、無駄なく効率的に電気が使えます。

家庭用蓄電池のデメリットについて

◾️充放電回数が限られる

蓄電池は充電回数に上限があり、それを超えると充電することができなくなります。
一般的に蓄電池の寿命は15年と言われているため、15年に1度は交換する必要があります。

◾️設置スペースをとる

一般的な家庭用蓄電池のサイズは、約W100cm×D30cm×H120cmと言われています。
蓄電池を長持ちさせるには、上記サイズの確保に加えて、直射日光が当たらない場所に設置する必要があります。

家庭用蓄電池設置にかかる費用について

次に、一般家庭へ蓄電池を導入する場合の費用についてご説明します。

家庭用蓄電池の販売価格総額は概ね100 ~ 250万円(15 ~ 20万円/kWh)程度になります。

家庭用蓄電池はメーカーや蓄電容量、仕様により価格が大きく異なります。
詳細はお問い合わせください。

家庭用蓄電池に関する補助金について

蓄電池は高価であるため、導入へのハードルは決して低くありません。
そこで、各自治体の補助金制度を活用し、導入コストを抑えることができます。

令和5年の蓄電池に対する国の補助金は、国土交通省から「こどもエコすまい支援事業」、sii(環境共創イニシアチブ)から「DR補助金」「DER補助金」が公募されております。

なお、補助金の同時利用は認められていません。

①こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業とは、高エネルギー価格に敏感な子育て世帯や若者夫婦向けに、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有した新築住宅の購入や、既存住宅の省エネ改修を支援する事業です。

これにより、省エネ投資を促進し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する取り組みです。
【公募期間】
2023年3月31日~2023年9月28日(予算上限(100%)到達のため、受付終了)

【補助金額】
蓄電池の台数にかかわらず、1戸あたり64,000円

②DR補助金(電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業)

DR補助金とは、電力需給がひっ迫する事態に備え、家庭や業務産業向けの蓄電システム導入を支援する補助金です。

この事業では、蓄電システムの導入費用や手続きの一部を補助することで、電力供給の安定を図り、電力需給がひっ迫した時に備えます。
【公募期間】
蓄電池アグリゲーター登録完了後~2023年12月22日(金)12:00必着

【補助金額】
DR補助金は、上限を60万円として、下記の要素で決定します。

(1)蓄電池の初期実効容量(kWh)
(2)自費設置か第三者所有モデル(TPO/PPA)であるか
(3)設置したい機器のメーカー側が下記①及び②を満たしているか

①早期復旧や原因解明が可能な体制、異常が見つかった場合に備えて代替する電池システムの主要部品を迅速に供給できる拠点が整えられている
②採用予定の蓄電システムを製造、加工、販売する事業者が廃棄物処理法に基づく広域認定を取得しており、蓄電池関連製品の処理について認められている

⚫︎自費設置で上記(3)を満たしている場合:3.2万円/kWh
⚫︎自費設置で上記(3)を満たしていない場合:2.7万円/kWh
⚫︎第三者所有モデルで上記(3)を満たしている場合:4.7万円/kWh
⚫︎第三者所有モデルで上記(3)を満たしていない場合:4.2万円/kWh

第三者所有モデルの方がお得に見えますが、そもそも自分で購入するわけではないので、自分が補助金を受けられるわけではありません。

大きな補助金が出ますので、基本的に自費設置での検討をお勧めします。

③DER補助金(蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業)

DR補助金と名前も内容も似ていて混乱しますが、それぞれ別の補助金です。

DER補助金は、再生可能エネルギーの普及やエネルギーの効率的な利用を促進するために、導入コストを軽減する目的で提供されています。

これにより、個人や事業者はより再生可能エネルギーを採用しやすくなります。
【公募期間】
⚫︎基盤整備事業(A事業)
2023年4月21日(金)~2023年5月16日(火)12:00必着(終了しました)

⚫︎DERアグリゲーション実証事業(B事業)
2023年4月21日(金)~2023年5月16日(火)12:00必着(終了しました)

⚫︎DER等導入事業(C事業)
2023年7月18日(火)~2023年12月22日(金) 12:00 必着
※2023年7月18日(火)13:00~2023年10月6日(金)23:59まではコンソーシアム枠にて公募受付、コンソ―シアム枠の公募受付終了後は、自由枠として公募受付

【補助金額】
DER補助金は、上限を60万円として、下記の要素で決定します。

(1)蓄電池の初期実効容量(kWh)
(2)自費設置か第三者所有モデル(TPO/PPA)であるか
(3)設置したい機器のメーカー側が下記①及び②を満たしているか

①早期復旧や原因解明が可能な体制、異常が見つかった場合に備えて代替する電池システムの主要部品を迅速に供給できる拠点が整えられている
②採用予定の蓄電システムを製造、加工、販売する事業者が廃棄物処理法に基づく広域認定を取得しており、蓄電池関連製品の処理について認められている

⚫︎自費設置で上記(3)を満たしている場合:3.7万円/kWh
⚫︎自費設置で上記(3)を満たしていない場合:3.2万円/kWh
⚫︎第三者所有モデルで上記(3)を満たしている場合:5.2万円/kWh
⚫︎第三者所有モデルで上記(3)を満たしていない場合:4.7万円/kWh

家庭用蓄電池の選び方とポイント・注意点について

次に、蓄電池選びのポイントをご説明します。

価格については、各メーカよりさまざまな価格で販売されていますので、蓄電池の目的に応じて予算を決定しましょう。

そのほか、蓄電池のスペックとして、

⚫️蓄電池容量(kWh)
⚫️交流出力容量(kW)
⚫️屋内外の設置場所
⚫️サイズ
⚫️ハイブリッドor単機能
⚫️保証期間

など、各ご家庭の電力使用量や設置スペース、太陽光発電の有無などから検討ください。

選び方のポイントについて知りたい方はコチラをご覧ください。

まとめ

今回は、太陽光発電用の蓄電湛についてご説明させていただきました。

エネルギー資源の枯渇や世界的な情勢不安、電力需要の増加などを背景に、化石燃料価格は高騰し、電力の市場価格は値上がりを続けています。

蓄電池を導入することで、電気代を削減することができます。

また、今後起きるかもしれない災害時の非常用の電源として、リスクに備えておくことができます。

デメリットとして挙げた、家庭用蓄電池の寿命やサイズに関しても、技術進化により、長寿命化や小型化が進んでいます。

久野商事では蓄電池だけでなく、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった太陽発電資材を豊富に取り扱っています。

太陽光発電についてご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

久野 将成

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フェンス一筋数年。IT界からフェンス界に転生した久野です。
太陽光フェンスやアニマルフェンスについてのウンチクを中心に書いていきます。

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