2022.08.09

お役立ちコラム 太陽光

太陽光発電の廃パネルについて【徹底解説】

太陽光パネル

更新日:2023年10月24日
みなさん、こんにちは。
久野商事の久野です。
再生可能エネルギーの中でも主力である太陽光発電は、2012年にFIT(固定価格買取制度)が導入されてから、急速に増加しています。

太陽光発電に使用する太陽光パネルは、製品寿命が約20~30年とされており、10年後には多くのパネルが寿命を迎えることになります。

そこで、今回は太陽光パネルの処分方法やリサイクル方法について、説明します。

太陽光パネルの廃棄問題について

はじめに、太陽光パネルの廃棄問題について説明します。

廃棄パネルが問題化された背景には、2012年にFIT制度(固定価格買取制度)が導入されたことにあります。

2012年にはじまった太陽光発電事業は、2040年頃には一定終了するといわれています。
そのため、太陽光発電設備から太陽光パネルを含む大量の廃棄物が出ることが予想されており、様々な問題が懸念されています。

◾️放置・不法投棄

一般家庭や借地でおこなう太陽光発電事業の場合は、撤去の際に適切に廃棄されます。

しかし、事業者が所有している土地の場合は多額の廃棄費用がかかるため、一部の事業者は太陽光発電所を放置したままだったり、太陽光パネルを不法投棄するなどしています。

これを防ぐには、売電利益の一部を廃棄などの費用として積み立てておくことが有効ですが、導入企業が増えていないのが現状です。

太陽光発電の「廃棄等費⽤積⽴制度」についてはコチラをご覧ください。

◾️有害物質の流出・拡散

太陽光パネルは、鉛、セレン、カドミウムといった有害物質を含んでおり、管理型の最終処分場での埋め立てが望ましいとされています。

しかし、含まれている有害物質について廃棄物処理業者が認識していないため、適切な処分をされず、有害物質が環境に漏れ出してしまう事例が報告されています。

太陽光発電事業者は信頼できる廃棄物処理業者へ依頼をすることが、必要となります。

また、太陽光パネルメーカーや販売店も積極的に情報開示するなど、周知徹底へ向けた努力が必要になります。

◾️最終処分場のひっ迫

太陽光パネルの大量廃棄のピーク時には、産業廃棄物の最終処分場がひっ迫する恐れがあります。

太陽光発電に使用する太陽光パネルは、製品寿命が約20~30年とされています。

FIT法(固定価格買取制度)が2012年7月に施工されてから、多くの太陽光発電事業が終了する2040年頃には、太陽光パネルを含む廃棄物が年間約17~28万トンと大量に出ることが予想されます。

最大で2020年の100倍近くに膨らみ、産業廃棄物の最終処分量の1.7%~2.7%相当に達すると見込まれています。

リサイクルのコストを低減して効率化し、処分場のひっ迫緩和を進める必要があります。

廃棄する前に検討すべきポイントについて

FIT法(固定価格買取制度)満了を迎え、売電収入が下がると「まだ使えるけれど太陽光パネルを処分したい」と考える方が多くいらっしゃいます。

しかし、太陽光発電には売電する以外にも活用する方法があります。
ここでは、太陽光パネルを廃棄するまえに検討したい活用方法を紹介します。

◾️非常用電源として利用する

蓄電池を導入して、発電した電気を確保しておくと、災害時に停電しても、エアコンや扇風機、電気ストーブなどの家電を使用できます。

また電気自動車用を接続できるようにすれば、太陽光パネルで発電した電気を使って自宅で充電できるようになります。

太陽光の蓄電池についてはコチラをご覧ください。

◾️家庭用の主電源として活用する

売電しなくても太陽光発電を家庭の主電源として活用すれば、光熱費を大幅に節約できます。

エネルギー資源の枯渇や世界的な情勢不安、電力需要の増加などを背景に、化石燃料価格は高騰し、電力の市場価格は値上がりを続けています。

太陽光パネルがあれば発電した分の電気料金が削減でき、電気代の節約につながります。

日本では今後も電気料金の値上げが予想されるため、太陽光パネルを家庭用の主電源として活用するメリットは大いにあるといえます。

太陽光パネルの処分方法について

次に、太陽光パネルを処分する方法について紹介します。

◾️住宅の建て替え・リフォームで撤去する場合

住宅の建て替えやリフォームなどで太陽光パネルを撤去したい場合は、解体業者に依頼します。

太陽光パネルが搭載された家を解体する場合、太陽光パネルを撤去できる資格を持った業者が行うのが一般的です。

撤去された太陽光パネルは、解体業者がリサイクル業者に太陽光パネルを引き渡して処分を依頼します。

◾️パネルの寿命・不具合で取り替える場合

太陽光パネルが一般家庭の屋根に設置されるようになってまだ20年未満です。
そのためこういった事例はまだ少ないですが、これから増えていく可能性が高いでしょう。

太陽光パネルの不具合や寿命で交換する場合は、太陽光発電システムの設置をした施工会社か販売会社が設備撤去を行います。
太陽光パネルを設置した会社の連絡先は控えておく必要があります。

なお、転居などで太陽光パネルを撤去する場合も同様です。
万が一、設置した会社がなくなっていた場合でも連絡先は残されていることが多いので、設置時に確認しておきましょう。

◾️自然災害によりパネルが破損した場合

災害などでパネルが破損した場合、屋根の上についているか、地上に落下したかで対応が変わります。

【屋根についている場合】
太陽光パネルを設置した会社に連絡して修繕・交換してもらいましょう。

【地上に落下した場合】
太陽光パネルは産業廃棄物として扱われますが、例外的に「解体工事などの事業活動を伴わずに一般家庭から排出される場合は、一般廃棄物に該当する場合がある」とされています。

お住まいの自治体にある廃棄物担当窓口に連絡し、処分方法を相談してください。

なお、落下したパネルはまだ通電している可能性があり、感電やけがの危険性があるため、決して触ってはいけません。

太陽パネルの廃棄処分にかかる費用について

次に、太陽光パネルを廃棄処分する際に必要な費用について説明します。

◾️撤去費用

撤去費用とは文字通り太陽光パネルを撤去する費用になります。
足場を組み、1枚ずつ撤去するため足場代と撤去する費用がかかります。

一般的に太陽光パネルや架台の撤去費用はkWあたり、0.5万円〜1万円程度といわれており、スクリュー杭の撤去はkWあたり、1万円程度になります。

【5kWの住宅用太陽光の場合】
パネル撤去費:2万5,000~5万円程度

【50kWの住宅用太陽光の場合】
パネル撤去費:25万〜50万円
架台撤去費:25万〜50万円
スクリュー杭撤去費:50万円
合計:100万~150万円程度

◾️処分費用

次に処分費と運搬費がかかります。

撤去したソーラーパネルはしかるべき場所に運び、所定の方法で処分しなければなりません。そのための費用が必要です。

処分費は、例えば回収・再資源化サービスを行っている専門業者に依頼すると、単結晶ソーラーパネルの重さ18㎏以下の場合、運搬費込みで1枚あたり1,200円程度で処分してもらえます。

1枚あたり200kWhの発電量として
【5kWの住宅用太陽光(太陽光パネル25枚)の場合】
3万円程度

【50kWの住宅用太陽光(太陽光パネル250枚)の場合】
30万円程度

◾️運搬費用

運搬費は処分場までの距離によって変わります。
​​

上記以外にも、屋根の修繕費用がかかることもあります。

太陽光パネルの廃棄費用は撤去を依頼する会社、太陽光パネルの状況などによって異なります。
処分費用を正確に知りたい場合は、複数社に相見積もりをとることをおすすめします。

なお処分費用や撤去費用は無料になることはありません。「無料で処理・運搬する」といった業者はほぼ悪徳業者と考えていいでしょう。

太陽光パネルを廃棄したあとに気を付けたいポイントについて

次に太陽光パネルを廃棄した際に気を付けたいポイントを紹介します。

◾屋根の修繕について

一般住宅に設置される太陽光パネルは、屋根の上に設置します。

このため撤去する際に不慣れな業者が行うと屋根を傷めたり、修繕が的確に行われずに雨漏りがすることもあります。

太陽光パネルが乗った屋根の状態は、1件1件異なります。
ほとんど傷んでいないこともあれば、大がかりな修繕が必要なことがあるでしょう。

部分補修ならば数十万円で大丈夫ですが、ふき替えとなると100万円近くかかることもあります。

◾️土地の再利用計画について

空き地を利用して太陽光発電をした場合、土地の用途を雑種地にしている方が多いと思います。

雑種地は固定資産税が宅地に次いで2番目に高く設定されているため、そのままにしておくと高い税金を払い続けることになります。

このため太陽光発電を廃業する場合は、その後の土地の再利用計画もしっかりと立てておく必要があります。

産業用の大規模な太陽光パネルを設置しない場合は、山林や畑などの地目に変更すると、税金対策にもなります。

太陽光パネルのリサイクルについて

最後に、太陽光パネルのリサイクルについて説明します。

使用済みの太陽光パネルは、産業廃棄物全体の約6%を占めている事実をご存知でしょうか?
そのため、廃棄物の量が増えるにつれて処分場の収容能力が圧迫されています。

この問題を解決するためには、太陽光パネルを製造したり設置したりする企業が、リサイクルの重要性を認識し、積極的に取り組む必要があります。

太陽光パネルのリサイクルについて、詳しく知りたい方はコチラをご覧ください

まとめ

今回は太陽光発電におけるパネルの廃棄問題について解説しました。

本来は再生可能エネルギーとして太陽光発電は人々の生活を豊かにすることが目的となります。
しかし、太陽光パネルの廃棄によって環境汚染などの新しい問題が起きています。

環境問題を解決するためには正しい廃棄方法を理解し、実行することが必要となります。

また、近い将来訪れる太陽光パネルの「大量廃棄時代」に向け、廃棄だけではなく、リユース・リサイクルの推進も必要となります。

久野商事では、家庭用・産業用問わず、太陽光発電設備の撤去・処分を請け負っております。
ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

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この記事を書いた人

久野 将成

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フェンス一筋数年。IT界からフェンス界に転生した久野です。
太陽光フェンスやアニマルフェンスについてのウンチクを中心に書いていきます。

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