2023.11.06
お役立ちコラム 太陽光
計画値同時同量制度とインバランス料金について徹底解説
更新日:2023年11月6日
みなさん、こんにちは。
久野商事の久野でございます。
過去のブログで「自己託送」や「オフサイトPPA」についての記事を投稿しました。
両者ともに、遠隔地から送配電ネットワークを利用して対象の施設へ電力を供給することができるため、太陽光発電導入の間口を広げる有効な手段として注目されています。
このように、送配電ネットワークを利用する発電事業者や電気小売事業者への義務として課されるのが「計画値同時同量制度」です。
計画値同時同量制度は、安定した電力供給を実現するための重要な枠組みであり、私たちが普段使用している電力は、この制度により安定供給が保たれています。
自己託送やオフサイトPPAの導入を検討している方は、この制度を正しく理解し、順守する必要があります。
そこで、今回は計画値同時同量制度において具体的にどのような行動が義務付けられているのか、また、違反した場合に課されるペナルティについて解説していきます。
目次
計画値同時同量制度について
はじめに、計画値同時同量制度についてご説明します。
「計画値同時同量制度」は、小売電気事業者へ課されている制度で、電力を安定供給するために、発電量と消費量を一致させることを目的としています。
オフサイトPPAや自己託送のように発電事業者が小売電気事業者の送配電網を利用する場合は、計画値同時同量制度の対象となります。
なお、固定買取制度(FIT)は対象外となります。
発電事業者と小売電気事業者は、前日正午までに翌日(30分を1コマとして1日48コマ)の「発電販売計画」と「需要調達計画」をそれぞれ作成し、電力広域的運営推進機関に提出します。
なお、計画値は、各コマの1時間前まで変更できます。
最終的に提出された計画値と実需給実績の差(インバランス)が発生した場合、一般送配電事業者が電力供給の調整を行います。
計画値同時同量制度の利点について
次に、計画値同時同量制度の利点をご紹介します。
配送電網への電力供給量が需要量を上回ると電圧や周波数が上昇し、逆に少ないと低下します。
電圧や周波数が大幅に変動すると、電子機器の故障を防ぐために一般配送電事業者から「出力抑制」が行われます。
出力抑制とは、発電を抑えたり、止めたりする仕組みのことで、これにより発電所などが自動停止してしまいます。
すると、電力の一時的な遮断や大規模停電などの問題が発生する可能性があります。
計画値同時同量制度によって、需要と供給のバランスを取ることで、送電網を安定して運用することができます。
インバランス料金について
次に、インバランス料金についてご説明します。
インバランス料金とは、電力の実需給が発電事業者が提出した計画通りにいかず、電力の過不足が発生した際に、実際の需給バランスを送配電事業者が調整します。
この調整金として支払う料金を、インバランス料金といい、発電事業者が同時同量を守らなかった際のペナルティとしての意味もあります。
インバランス料の種類について
次に、インバランス料金の種類についてご紹介します。
発電インバランス
発電事業者が提出した発電販売計画(以下:発電計画)と発電実績の差を「発電インバランス」といいます。
発電計画に対して「実際の発電量」が多かった場合は「余剰インバランス」が、少なかった場合は「不足インバランス」が発生します。
需要インバランス
小売電気事業者が提出した需要調達計画(以下:需要計画)と需要実績の差を「需要インバランス」といいます。
需要計画に対して「実際の電気使用量」が多かった場合は「不足インバランス」が、少なかった場合は「余剰インバランス」が発生します。
インバランス料金の算定方法について
次に、インバランス算定方法について、ご説明します。
インバランス料金は調整力(一般送配電事業者が供給区域の周波数や電圧を制御するシステム)のkWhあたりの単価を基本に定められており、地域や時間帯によって異なります。
また、電力需給の逼迫時に不足インバランス料金が発生した場合、通常のインバランス料金と比較して、金額が上昇する仕組みが導入されています。
2022年4月より、インバランス価格の算定方法は下記の通りです。
◾️不足インバランス料金
=スポット市場と1時間前市場の加重平均値×α+β+K
◾️ 余剰インバランス料金
=スポット市場と1時間前市場の加重平均値×α+β-L
【α】系統全体の需給状況に応じた調整項
【β】地域ごとの市場価格差を反映する調整項
【K/L】インセンティブ定数(経済産業大臣が定める額。系統全体が不足した場合には加算(K)され、余剰の場合は減額(L)される)
リアルタイムのインバランス料金はこちらからご確認いただけます。
同時同量は電力市場の基本原則
今回は、計画値同時同量制度とインバランス料金のご紹介とともに、電力の需給バランスの必要性についてご説明させていただきました。
計画値同時同量制度、インバランス料金ともに、今後も需要拡大が予想されるオフサイトPPAや自己託送とは切っても切れない関係です。
自己託送やオフサイトPPA導入をご検討されている方は、計画値同時同量制度にかかる費用や、インバランス料金の発生リスクを念頭に置く必要があるといえます。
ちなみに、計画値を提出するには大変な負担がかかるため、通常は専門業者へ業務を委託することが一般的です。
手数料はかかりますが、計画値を予測し、調整する手間が省けますし、インバランスの発生リスクを抑えることもできます。
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太陽光発電に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。