2020.09.24
防獣・獣害対策
効果的な獣害対策について【イノシシ編】
更新日:2023/10/27
みなさん、こんにちは。
久野商事株式会社の久野でございます。
近年、エサ不足などにより野生のイノシシが住宅街で農作物を食べたり、徘徊するなどの獣害が問題になっています。
しかし、イノシシは特定外来生物の害獣であり、捕獲および駆除作業については法律による規制が設けられているため、捕獲することはできません。
そこで今回はイノシシ対策に悩んでいる方に向けて、イノシシの特徴と効果的な対策ついて説明していきます。
目次
イノシシの特徴について
まずはじめに、イノシシの特徴について説明します。
イノシシの生態について
体のサイズは亜種や地域によって異なりますが、西表島産リュウキュウイノシシの雄成体では体重40-50kg、頭胴長80-110cm程度になります。
一方で、中国山地産ニホンイノシシの雄成体では体重50-150kg、頭胴長110-160cm程度になります。
イノシシの特徴については下記の表をご覧ください。
見た目 | 毛は粗くて、毛色はふつう茶色や茶褐色、黒褐色などで、子どもはウリボウとよばれ、バクの子どものように体に縞がある。 鼻面は真っ直ぐに突き出したような見た目で、鼻先は平たくて特徴的である。 また、上顎の犬歯は大きく、特に雄では強力な牙となっている。 |
知能 | イノシシは優れた記憶力があることがみとめられている。 また、イノシシは模倣学習をすると考えられており、柵を設置していても、群れの一頭が突破すると、群れの他個体も真似をして、突破してしまう。 一方で、イノシシは非常に臆病な動物であるため、このような行動は安全が確認された場所でしか発揮されない。 |
食性 | クズやカヤ、ヤマイモなどの地下茎やタケノコ、果実、ドングリなど、植物質のものを主に食べる。 |
繁殖能力 | メスは一度に4〜5頭出産する。 |
イノシシが好む環境について
次に、イノシシが好む環境について説明します。
イノシシは水場が近いところを好み、水浴びや泥浴びをする習性があります。
泥浴びのあとは体を樹木にこすり付ける様子がみられる場合がありますが、これは体についた寄生虫を除くためなどと考えられています。
最近は作物への食害だけでなく、耕地の掘り起こし、土手や水路を崩すなどの農業基盤への被害も発生しています。
イノシシの駆除について
イノシシは特定外来生物の害獣となります。
そのため、鳥獣保護管理法により、イノシシ捕獲および駆除作業については規制が設けられています。
違反した場合、1年以下の懲役もしくは 50万円以下の罰金が課せられる場合があるため、注意が必要となります。
尚、農作物や生活被害を発生させている個体に限り、自治体の許可を受けたうえで捕獲することができるため、被害が深刻な場合は役所へ相談するようにしましょう。
イノシシの対策方法について
ここからは具体的な対策方法について紹介していきます。
餌付けしない
農作物を収穫した後の野菜くず、ペットの餌の食べ残し、生ゴミは餌になります。
また、誰も収穫しなくなり放任果樹となった果樹も、自分たちの餌場として認識するようになる場合があります。
電気柵やフェンスの設置
電気柵を設置することで、イノシシが電気ショックに怯えて近づかないようにすることができます。
ただし、イノシシは硬い毛に覆われており、学習したイノシシは電気を感じにくいお尻で接触するようになるため、長期的な対策には向きません。
対策方法の中には、ワイヤーメッシュフェンスや防獣ネットなどの線径が細く強度が低いフェンスを利用される方もいらっしゃいます。
しかし、イノシシの突進で簡単に破損してしまうため、フェンスを設置する際は、メッシュフェンスなどの線径が太く強度が高いフェンスをおすすめします。
トタン板を設置する
波状になっているトタン板を使って、農地をぐるりと囲む対策方法があります。
トタン板を使えばイノシシの視覚的に農作物が見えなくなるため、イノシシ対策には有効となります。
ただし、トタン板を利用した場合は当然中が一切見えなくなってしまうため、防犯の観点から人感センサー付きのライトや防犯カメラの設置も併せて行うことをおすすめします。
ハーブやトウガラシなど香りが強い物を設置する
イノシシは嗅覚が鋭いため、ハーブやトウガラシなどといった香りが強いものを嫌います。
市販のハーブやトウガラシをそのまま農地や庭などに吊るしたり、刻んだものを地面に撒くだけで効果があります。
ただし、地面に撒くとトウガラシの色が土に移ってしまうため、注意しましょう。
その他にもネギやニンニク、ショウガ、シソなどといったニオイの強い作物もイノシシの弱点となります。
ハーブやトウガラシによるイノシシ対策についてはコチラで詳しく説明しているため、ご覧ください。
木酢液を活用したイノシシ対策もコチラにございますので、ぜひご覧ください。
彼岸花を植生する
彼岸花は中国原産のヒガンバナ科に属する多年草で球根に強い毒性がある有毒植物で、タマネギのような鱗茎が地面に埋まっており、秋のお彼岸(9月の中旬頃)に花芽を出して綺麗な赤い花を咲かせます。
イノシシは地中の餌をさがすために、穴を掘る習性があるため、有毒植物である彼岸花を植生することで穴掘りを止めさせる効果があるという研究結果がでています。
尚、あくまで穴掘りを避けるための対策のため、物理的な侵入は防げないため、フェンスなどの物理的な対策と併用することをおすすめします。
彼岸花を活用したイノシシ対策についてはコチラをご覧ください。
アニマルピーやウルフピーを利用する
アニマルピーやウルフピーは狼の尿でできており、ネットやホームセンターなどで気軽に購入することができます。
狼のニオイを敵とみなすイノシシに効果がある忌避剤と言われており、イノシシ以外にもハクビシンやきつね、サルやシカに対しても有効な方法となります。
ハクビシンの対策についてはコチラで詳しく説明しているため、ぜひご覧ください。
大きな音を出す
イノシシは危険を察知すると逃げる習性があるため、登山用の鈴やラジオを使って大音量を出して人間の存在をアピールすることも有効な方法の1つとなります。
ただし、音を出しっぱなしにしていると脅しであることをイノシシが学習してしまうため、長期的なイノシシ対策としてはおすすめできません。
音を活用したイノシシ対策についてはコチラをご覧ください。
超音波や光を利用する
超音波や光はイノシシに不快感を与えるため、接近防止に効果的な方法となります。
野生動物専用の超音波装置はネットやホームセンターなどで気軽に購入することができます。
また、感知式のライトを利用して、イノシシを驚かせることも有効です。
ライトを活用したイノシシ対策についてはコチラをご覧ください。
農地や庭、庭木を手入れする
雑草が多く植生している場合は雑草対策を行うことも有効な方法となります。
イノシシは臆病で、姿を隠しながらやってくるため、身を隠せる庭木がない場所は忌避する傾向があります。
イノシシ対策の補助金について
自治体の中には、有害鳥獣の侵入を阻止する為に、さまざまな対策を講じているところも多く、補助金を交付している自治体もあります。
以下は2023年1月時点での補助金を交付している自治体の例となります。
自治体 | 対象費用 | 補助額 |
神奈川県 足柄下郡箱根町 | 防止柵の購入費 ・電気柵 ・トタンなど板による柵 ・網や金網柵 など | 町民などの方:購入費用の2分の1(限度額は2万円) 自治会:購入費用の3分の2(限度額は3万円) 事業者:購入費用の3分の1(限度額は2万円) |
愛知県 | ・推進事業 (推進体制整備、有害捕獲、被害防除、生息環境管理) ・整備事業 (侵入防止柵等の被害防止施設、処理加工施設、焼却施設) ・捕獲事業 | ・推進事業:1/2以内(上限なし) ・整備事業:1/2以内(条件不利地域55/100以内) ・捕獲事業:9,000円/頭以内(定額) |
福島県 いわき市 | ・福島県猟友会(平支部、磐城支部、勿来支部)の会員でイノシシを捕獲した方 ・鳥獣捕獲等許可に基づきイノシシを捕獲した方 | 『鳥獣捕獲等許可』による捕獲の場合:1頭当たり12,000円 『狩猟』による捕獲の場合:1頭当たり成獣20,000円、幼獣13,000円 |
まとめ
今回は、イノシシに効果的な対策方法について説明しました。
イノシシは知能や身体能力が高く、繁殖力も強いため、イノシシ被害は今後も増えてくることが予想されます。
まずはイノシシの生態をよく理解し、ハーブやトウガラシ、アニマルピーのような間接的な対策だけでなく、フェンスも用いて物理的な対策もおこないましょう。
また、久野商事では獣害対策用フェンスの販売から施工まで一貫して受け付けております。
獣害に悩まれている方はお気軽にお問合せ下さい。