2023.04.24
お役立ちコラム 太陽光
太陽光発電のPPAについて【徹底解説】
更新日:2023年11月01日
みなさん、こんにちは。久野商事の久野です。
再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電は、一定の土地が必要なため、導入費用も掛かってしまいます。
導入費用を抑える方法としてPPAについてみなさんはご存知でしょうか。
PPAとは、Power Purchase Agreementの略称で電力販売契約のことになります。
PPAは第三者所有モデルとなり、初期費用なしで太陽光発電の導入ができるシステムになります。
そこで今回はPPAの仕組みやメリット、デメリットなどを解説していきます。
目次
PPAについて
まずはじめに、太陽光発電のPPAモデルについて説明します。
PPAは2020年からはじまった、企業や自治体と太陽光発電事業者の間で交わされる電力契約販売になります。
PPA事業者が企業や個人の敷地であったり、屋根上などに太陽光発電設備を無償で設置します。
PPAの仕組みについて
はじめに、遊休地や屋根で太陽光発電をおこなう企業や自治体とエネルギー会社がPPAを締結します。
次に企業などは土地を提供して、エネルギー会社は太陽光設備などのシステムを無償で提供・運用することを、お互いに提供する仕組みになります。
そのため、土地や建物の所有者は企業や自治体のまま、太陽光発電システムの所有権はエネルギー会社が持つことになります。
PPAを契約した企業は、自社の土地や建物で太陽光発電をおこない、発電した電力を自社消費することができます。そして、消費した電力分の料金を毎月エネルギー会社に支払います。
すでにPPAに取り組んでいる企業・自治体については、コチラをご参照ください。
PPAモデルとよく比較される形態として、自己所有とリース契約があります。
自社契約とは、自分たちで初期費用やメンテナンス費用を負担する方法です。
PPAモデルはPPA事業者が設備を所有していましたが、自己所有の場合は、自分たちが所有するという形になります。
以前までは自己所有が主流でしたが、現在ではPPAモデルが主流となってきています。
リース契約とは、リース事業者から太陽光発電システムを借りるという方法です。
契約期間として、15〜20年が一般的です。PPAとの大きな違いは、毎月支払う金額が一定かつ、売電といって発電した電気を売ることができることです。
導入までの流れについて
はじめにPPAのプランを提供しているエネルギー会社を選び、契約内容を確認してPPA契約を結びます。
一般的にプランの契約から、発電開始まで約1年かかるといわれています。
また、太陽光発電をはじめる土地や建物の事前調査や、太陽光設備の手配などの手順があるため、契約してすぐに発電をはじめることはできません。
PPAプランのあるエネルギー会社の例
ここではPPAプランを提供しているエネルギー会社を一部紹介します。
関西電力
関西電力は「太陽光発電オンサイトサービス」として、PPAプランを提供しています。
関西を拠点にした電力会社ですが、PPAプランは全国の法人が対象になっています。
プラン詳細については問い合わせからのみとなっております。
詳しくは関西電力のサイトをご確認ください。
中部電力
中部電力もPPAのプランを提供しています。
オプションでGOOD ON ROOFSへの寄付も可能になっております。こちらの団体はアフリカなどの途上国へ太陽光パネルを提供し、電力の安定的な供給を目的として活動しています。
プラン詳細については中部電力のサイトからお問い合わせください。
PPAのメリットについて
次に、PPAモデルのメリットについて説明します。
初期費用が抑えられる
1つ目のメリットは、初期費用がかからない点です。
従来の自己契約の形態は、初期費用がネックとなりなかなか導入が進まないという現状がありました。
PPAはそういったリスクを排除し、今までより簡単に導入ができるようになりました。
電気代を抑えられる
2つ目は、再エネ賦課金がかからない点です。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーは、従来の原子力や火力発電に比べ、割高なため、普及するまでみんなで負担するという制度になります。
再エネ賦課金は年々増加していますが、PPAをおこなうことで、費用を削減できます。
維持管理が不要
太陽光発電では設備の安全性と発電効率の低下を防ぐために、メンテナンスが義務化されているため、自己所有ではメンテナンス費用や修理費が必須になります。
一方でPPAの場合は、設備維持をPPA事業者が行うため、一切かかりません。
メンテナンス費用が無償になることは大きなメリットと言えます。
CO2削減に貢献できる
太陽光発電はCO2を排出しないクリーンな発電方法です。
近年、地球温暖化が問題視され続けており、世界中の国がCO2排出削減に向けた取り組みを掲げています。
日本は世界で5位の二酸化炭素排出量であり、世界的に見て遅れています。
日本のエネルギー発電の割合は70%を大量のCO2が排出される火力発電が占めており、国もこの現状を問題視しています。
太陽光発電が更に普及することにより、SDGsに貢献しつつ、環境問題をより身近に捉えることができます。
企業のイメージアップにつながる
近年、大企業をはじめとした多くの企業でSDGsが重要視されており、太陽光発電を導入することにより企業のイメージアップを図ることができます。
イメージアップにより、新規顧客開拓や取引先の増加、資金調達がしやすくなるといったメリットが生まれる可能性があります。
PPAのデメリットについて
次に、PPAモデルのデメリットについて説明します。
長期契約が必要
PPAモデルの契約期間は概ね10年~20年と長期契約となるため、長期的な計画を立てて契約を結ぶことが大切です。
契約期間中に移動や廃棄をする違約金が発生する
太陽光発電設備はPPA事業者の所有物のため、契約者の都合で太陽光発電設備に変更を加えることは、原則認められていません。
事業所の移転をする際などに勝手に移動や撤去をすることはできないため、事前に契約内容や譲渡条件などをしっかりと確認しておくことが必要になります。
設置場所に制約がある
太陽光発電設備は設置場所に制約があります。
例えば、日光が全く入らない場所は太陽光発電に適していないため、設置ができません。
あくまでも太陽光発電が問題なくおこなえるという前提の上で設置場所を選定する必要があります。
契約満了後のメンテナンスは自己負担
契約中はPPA事業者がメンテナンス費用を負担しますが、契約期間が満了した場合、すべての設備が契約者に譲渡されます。
契約満了後は自己所有となるため、メンテナンス費用や修理費などは自己負担となります。
電気代削減率が低い
PPAモデルの場合、使用した分の電気料金のみを支払います。
一方で自己所有型は発電した電気を自由に使用することができます。
この差により電気代削減率は低くなってしまいます。
PPAによる太陽光発電の導入事例
次に、PPAによる太陽光発電の導入事例について、紹介します。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社では、脱炭素化への取り組みとして「PPAモデル自家消費型太陽光発電設備」を順次導入しています。
日本政府による「2050年カーボンニュートラル宣言」に同社は賛同しており、事業活動に伴う温室効果ガス排出量を2030年度までに50%削減を目指しています。
オンサイトのPPAへ700億円投資することを決定しており、売上高260億円を見込んでいます。
株式会社リコー
2030年度再エネ使用率目標50%達成に向けた取り組みの一環として、国内外の生産・販売関連会社4拠点にオンサイトPPAモデルを導入しました。
同社は、日本企業として初の「RE100」参加をきっかけとして、再エネ使用率の向上と質の確保に向けて拠点スペースを有効活用するなど再エネの利用拡大を進めています。
PPAの未来について
オンサイト型PPAの導入事例は2017〜18年ごろから出始め、歴史は非常に浅いながらも、急激に成長している分野です。
実際に、2030年度には700億円に市場が成長するという予測も発表されています。
世界中が再生可能エネルギーに注目している中で、急成長を遂げているPPAは天候に左右されたり、割高な発電コストなどまだまだ課題も多いですが、メリットも大きいです。
今後もPPAから目が離せません。
尚、久野商事では太陽光発電所に設置が義務化されているフェンスを取り扱っております。
その他、雑草対策に最適な防草シートや太陽光架台、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった太陽光発電設備も取り揃えております。
太陽光発電に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。