2023.04.24
お役立ちコラム
太陽光パネルリユースについて【徹底解説】
更新日:2023年4月20日
みなさん、こんにちは。久野商事の久野です。
再生可能エネルギーとして太陽光発電が注目されていますが、使用されなくなった太陽光発電はとても大きな粗大ごみになってしまいます。
例えば、使わなくなった太陽光パネルはどのように処理されているのかご存知でしょうか。
基本的には専門業者に依頼して、再利用できるか判断してもらいます。再利用はリユースと呼ばれており、再利用できる場合は、パネルの洗浄や正常に機能するか検査をして再度販売されます。
また、リユースできないパネルは、リサイクルされるか埋立処分されます。
そこで、今回は太陽光パネルのリユースやリユースできないパネルがどのように処理されているのか解説していきます。
目次
太陽光パネルのリユースについて
ここでは太陽光パネルのリユースについて説明していきます。
使用されない太陽光パネルの量について
業者によってリユース不可と判断されたパネルは、リサイクルされるか産業廃棄物として埋立処分されます。
環境省の発表では、年間約 4,400tの太陽光パネルが使用済みとなって処理されており、そのうち約 3,400tがリユースされ、約 1,000tがリサイクルまたは廃棄されています。
また、2030年代後半には年間約 50〜80 万 t の太陽光パネルが使用済みとして出ると予測されています。
さらに、施工の不具合や災害、故障などによって製品寿命よりも前倒しで処理されることもあるため、予想よりも量が増える可能性が高いといわれています。
引用元:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」
太陽光パネルの処理方法について
実際に使用済みの太陽光パネルはどのように処理されるのでしょうか。
基本的にはパネルの利用が終了後、リサイクルまたは廃棄の業者に処理の依頼をします。
依頼後、業者はパネルのリユース可否の判断をし、リユースが不可能と判断されたパネルはリサイクルできる部品と埋立処分する部品に分解され処理されていきます。
使用済みのパネル以外に災害が起きた場合のパネルについては別の章で説明していきます。
引用元:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」
太陽光パネルのリユースまでの流れについて
次に太陽光パネルのリユースまでの流れについて説明していきます。
前提として、太陽光パネルがリユース可能と判断された場合でも発電機能に問題がないか確認する検査があります。
①太陽光パネルの検査
リユース業者はパネルの傷や機能に問題がないか検査することが義務化されています。
一般的に、検査が終了後は太陽光業者に販売されたり海外へ輸出されます。
しかし、リユース可能と判断後も検査結果によってはリサイクル・廃棄処分になる場合もあります。
検査項目の例としては以下の内容になります。
引用元:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」
②太陽光パネルの売買
使用済みのパネルは古物の扱いになるため、パネルのリユース業者は古物営業法に基づいて手続きを進める必要があります。
また、リユースパネルを売却する際には、古物商の許可のある業者に中古品としての買取を依頼することが重要になります。
古物商の許可をもつ業者に依頼することで、適正価格での買取をされるだけでなく、パネルの不法な輸出を防ぐことにも繋がります。
太陽光パネルの処理費用について
環境省の発表では、太陽光パネルの解体から撤去には1件あたり、平均18.9 万円かかるといわれています。
また、パネルの廃棄には平均6.6万円が支払われており、リユースする際の検査には設備の購入に約5,000万円かかるといわれています。
引用元:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」
太陽光パネルのリサイクルと廃棄について
リユースができないと判断されたパネルは、業者によってリサイクルと廃棄処分をされます。
業者によってはリサイクルせず全て埋立処分することがありますが、環境省は廃棄業者に対して、リサイクルを検討する必要があるとしてガイドラインで明言しています。
引用元:環境省「太陽光発電設備を廃棄処理する際の留意点について」
太陽光パネルのリサイクル可能な部品について
太陽光パネルにはリサイクル可能な部品が多く、資源として価値のある素材になります。
基本的に太陽光パネルは3つの機器から構成されているため、リサイクル可能な部品について紹介していきます。
①太陽電池セル
太陽光パネルは小さなセルといわれる機器が接続されてひとつの大きなパネルになります。
セルに含まれる銅線や銀は抽出され、リサイクルされます。
②太陽電池モジュール
モジュールは太陽光パネルのことを指します。
セルを接続し、上からガラスや樹脂で封止して強度を高めてセルの周りに枠を取り付けた状態の機器になり、その中でアルミ枠やガラスは原料としてリサイクルされます。
③太陽電池アレイ
アレイはモジュールをさらに並列に接続した機器になり、電圧を高める目的で作られます。
太陽光パネルの廃棄について
リユースやリサイクルができない太陽光パネルは、産業廃棄物として処理されます。
産業廃棄物は、専門業者によって解体・破砕され、主に埋立処分されています。
廃棄される部品は、産業廃棄物処理施設の設備に応じて、パネルを封止しているガラスや樹脂を取り除けないため、パネルすべてを埋立処分する場合もあります。
一方で、ガラスや樹脂を取り除く設備のある業者は、ほぼすべてのパネルの部品をリサイクルできるまで解体することができます。
そのため、現状は業者によって廃棄される部品が異なります。
災害によって破損したパネルの処理方法について
基本的に災害が原因で破損したパネルはリユースされず、リサイクルもしくは廃棄処分されます。
設置場所を管轄している産業保安監督部へ事故発生後、24時間以内に事故の概要と30日以内に事故の詳細を報告義務があります。
尚、太陽光発電事業者が事故を報告した場合は自治体の担当者が処理について手配する流れになります。
報告先については経済産業省のサイトをご確認ください。
引用元:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」
太陽光パネルを持続可能な状態にする方法について
太陽光パネルの発電効率を高めるために、新しいパネルに買い替える方も多いと思います。
基本的に太陽光パネルは汚れや影によって発電量が増減します。
そのため、定期的なメンテナンスをすることが重要になり、パネルの発電機能を落とすことなく、傷や汚れのない状態を保つことで、使用済みの太陽光パネルでもリユースできる可能性が高まります。
尚、太陽光発電のパネル洗浄方法やメンテナンスの記事もご興味のある方はご参照ください。
まとめ
今回は太陽光パネルのリユースや処理方法について解説しました。
使用済みの太陽光パネルがリユースされない場合はほとんどが廃棄されてしまいます。
そのため、とても大きな粗大ゴミが増えてしまい、環境に影響されてしまいます。
また、将来的に太陽光パネルの廃棄量は増えると予想されています。
太陽光パネルを定期的にメンテナンスすることで使用済みの太陽光パネルをリユース品として売却したり、リサイクルして別の商品として使えることが理想になります。
尚、太陽光パネルの処理方法にお困りな方や太陽光発電所の売却を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。