2023.04.28
お役立ちコラム
仮想発電所のバーチャルパワープラントについて
更新日:2023年4月27日
みなさん、こんにちは。
久野商事の久野です。
テクノロジーの発達により、ARやVRといったものが私たちの生活のいろいろな場面で活用されるようになりました。
その中でみなさんはVPPをご存知でしょうか。
VPPはバーチャルパワープラントの省略で、エネルギーに関する専門用語になります。
意味としては、太陽光発電などの複数のエネルギーをひとつに集約して、仮想の発電所として機能させることをいいます。
そこで今回は、仮想発電所のバーチャルパワープラントについて説明させていただきます。
目次
バーチャルパワープラント(VPP)について
バーチャルパワープラント(VPP)は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーのみならず、蓄電池や電気自動車などの小規模なエネルギーをIT技術で制御・集約してひとつの仮想大規模発電所として機能させる技術になります。
従来の発電は大規模な施設が必要になるため、建設費用などが発生します。
一方でバーチャルパワープラント(VPP)を利用すると、主に電力を管理する事業者のシステム導入費がかかるのみで、大規模な発電所と同じ機能が使えるようになります。
VPPの仕組みについては、以下の図を参照ください。
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁 バーチャルパワープラント・ディマンドリスポンスについて
バーチャルパワープラント(VPP)で使われる用語の紹介
ここではバーチャルパワープラント(VPP)の中でよく活用される用語について紹介していきます。
①リソースアグリゲーター
リソースアグリゲーターは、電気設備などの制御をおこなう事業者のことをいいます。
電力を使用する人(需要家)とVPP契約を結ぶことで、太陽光発電や蓄電池、電気自動車などから得られる電気の管理・制御をおこないます。
また、電力需要が増えた際に電力消費を抑えることで、需要と供給のバランスを保っています。
一方で電力が余っている場合は、蓄電池などに充電することで、電力不足になった際に備えています。
引用元:資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント・ディマンドリスポンスについて」
②アグリゲーションコーディネーター
アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターが集めた電力を一般送配電気事業者や小売電気事業者などの電力会社に対して、電力を直接取引をおこなう事業者を指します。
バーチャルパワープラント(VPP)導入の背景について
従来、日本では電力は必要な時に必要な分だけ供給していました。
しかし、2011年に起きた東日本大震災の影響で電力不足を経験し、電力が不足した時に備えて、電力を蓄えることが必要になりました。
震災後、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが注目されましたが、自然の力を利用して発電するため、例えば風力発電などは電力量が安定しないという課題があります。
そこで、バーチャルパワープラントを採用することで発電された電力と消費される電力をV管理や制御をおこなうことで、電力の需要と供給のバランスを保つことができます。
バーチャルパワープラント(VPP)のメリット・デメリットについて
ここでは、バーチャルパワープラント(VPP)導入のメリットとデメリットを紹介していきます。
バーチャルパワープラント(VPP)のメリットについて
まずはメリットについて解説していきます。
①電力の需要と供給の最適化
バーチャルパワープラント(VPP)の導入により、電力の需要と供給バランスが保たれることで、災害時などの電力不足に対応することが可能になりました。
②再生可能エネルギーの普及
最近では、太陽光発電が住宅の屋根に設置し、自家消費や売電したり、電気自動車用の蓄電器など個人にも普及しています。
しかし、分散型太陽光発電といわれる家庭用などの小規模な太陽光発電の余剰電力は、今まで活用されてきませんでした。
一方でバーチャルパワープラント(VPP)により、分散型太陽光発電も一括で制御することで、無駄なく活用できるようになりました。
③災害時の電力供給
東日本大震災の際におこなわれた計画停電をみなさんは覚えていますか。
バーチャルパワープラント(VPP)は複数の電力をひとつに制御・管理しているため、一部で停電が起きた場合でも他の発電所などから電力の供給をすることが可能になります。
バーチャルパワープラント(VPP)のデメリットについて
ここではデメリットについて解説していきます。
①デス・スパイラルの発生
デス・スパイラルとは、バーチャルパワープラント(VPP)の影響で電力会社が陥る、負のスパイラルのことをいいます。
米ローレンスバークレー国立研究所が提唱した、太陽光発電でのVPP導入によるスパイラルになります。
バーチャルパワープラント(VPP)が導入された結果、個人など小規模な太陽光発電の電力が地域に活用され、電力会社に頼らずとも安定した電力が供給されるようになりました。
その結果、電力会社の電力販売量が低下し、電力会社は維持のために電気料金を引き上げることになります。
そのため、電気料金の値上げをした場合、太陽光発電の導入は進むといわれています。
しかし、個人で経済的な理由から太陽光発電を導入できない人達は電気料金の値上がりによって生活が圧迫されてしまいます。
この負のスパイラルをデス・スパイラルと提唱しており、電力会社のみならず、個人の経済格差を広める可能性があるといわれています。
引用元:https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/286991/071100024/?P=2
まとめ
今回はVPP(バーチャルパワープラント)について解説してきました。
バーチャルパワープラント(VPP)は、日本でおきている電力不足の解決方法のひとつとして期待されています。
特に日本は自然災害の多い国になるため、災害が起きた際に電力の確保と供給は重要になります。
現在は再生可能エネルギーの普及により、少しずつ日本も主力電源を再生可能エネルギーにする動きが活発になっています。
私は再生可能エネルギーがより普及することにより、バーチャルパワープラント(VPP)のデメリットである負のスパイラルも解消されると考えています。
尚、久野商事では太陽光発電に必要な資材や工事などを提供しています。
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