2023.10.04
太陽光
太陽光発電のリースやPPAについて徹底解説‼︎
更新日:2023年10月4日
みなさん、こんにちは。
久野商事の久野です。
近年、企業や個人を問わず、太陽光発電の活用に対する注目が高まっています。
一方で、設備投資が高額であるため、導入が難しいと感じる企業や個人も多くいらっしゃいます。
そのような状況で役立つのが、初期費用がゼロ円で運用できる太陽光リースや、Power Purchase Agreement(通称PPA、電力販売契約)になります。
今回は、各種太陽光導入モデルのメリットとデメリットについて詳しく説明します。
目次
【太陽光発電のリース契約について】
まずはじめに、太陽光発電のリース契約について説明します。
太陽光発電のリース契約は太陽光リースと呼ばれ、太陽光発電を初期費用を抑えて導入できるサービスになります。
太陽光発電のリースは車や複合機などの一般的なリースと異なり、リース契約期間を終えると太陽光発電システムの所有権が企業や投資家などの発電事業者に移ります。
また、太陽光リースの場合は、一般的に所有権を譲渡する際に費用がかかりません。
リースの契約内容は契約会社ごとに発電した電気の所有権や電気の使用料金、期間中の解約条件などが異なるため、契約前にしっかりと確認することをおすすめします。
・リース契約のメリットとデメリットについて
次に、リース契約のメリットとデメリットについて説明します。
・リース契約のメリット
①初期費用が掛からない
通常、太陽光リース契約では太陽光発電設備を提供する業者が購入、設置、保守などにかかる費用を負担するため、初期費用が発生しません。
ただし、契約条件は提供業者や契約内容によって異なることがあるため、具体的な契約内容は確認が必要となります。
具体的な初期費用については、契約書や提供業者との交渉で決まるため、太陽光リース契約を検討する際には複数の提供業者と相談し、詳細な条件と初期費用を調査し比較することをおすすめします。
②自家消費や電力販売(売電)ができる
契約内容や地域によって異なりますが、太陽光リースでは自家消費や売電ができます。
自家消費することで、電気料金を節約したり、売電をおこない収益を得ることができます。
③メンテナンス費用が掛からない
契約業者により変わりますが、契約によってはメンテナンス費用がかからない場合があります。
太陽光発電システムはシステムの寿命だけでなく、自然災害などで破損することもあるため、メンテナンス費用がリース料金に含まれている業者か、メンテナンス費用を負担してもらえる業者を選ぶことをおすすめします。
④住宅ローンの審査に影響しない
自分で購入する場合はソーラーローンなどを利用するのが一般的ですが、ソーラーローンは住宅ローンを組むときに影響を受けます。
ソーラーローンについては、コチラをご参照ください。
一方で、「リース契約」の場合は、一般的には住宅ローンの審査に影響がありません。
ただし、リース契約の月々の支払いが高額である場合、住宅ローンの返済能力に影響を与える可能性があるため、金融機関が審査時に考慮することがあります。
⑤リース費用を経費として計上できる
資産としての太陽光発電システムは、減価償却を受けることができるため、リース費用の一部を年次経費として計上することができます。
⑥契約満了後、太陽光システムを自己所有できる
一般的には、契約満了後に太陽光発電システムの所有権がリース契約者に譲渡されます。
契約満了後のシステムの扱いは、契約条件と提供業者によって異なり、システムの撤去や太陽光発電システムを他の個人や企業に売却するオプションを提供することがあります。
・リース契約のデメリット
①リース代金がかかる
リース契約のため、毎月費用が発生します。
リース会社や契約内容によりリース費用は異なりますが、毎月1万円程の費用が発生します。
②中途解約が困難
契約内容にもよりますが、リース契約は基本的に途中で解約することができません。
契約を検討する際は、将来のことも踏まえて検討することをおすすめします。
③メーカー等が選べない
太陽光リース契約では、設備提供業者がシステムの設計、購入、設置をおこなうため、リース契約者が設備を選択することはできません。
④契約満了後に収益が減る可能性がある
FIT(固定価格買取制度)の売電価格が固定される期間は、一般的に10年で終了するためリース契約が満期となる頃にはFIP制度に移行するか、売電先を見つける必要があります。
FIPについては、コチラをご参照ください。
⑤メンテナンス費用が掛かかる
契約内容によっては、システムのメンテナンス費用がリース料金に含まれていません。
この場合、定期的な点検や修理などのメンテナンスに関する費用を支払う必要があります。
・売電価格について
次に、売電価格について説明します。
基本的に、一般家庭で発電した電力を売電する際は、FIT制度を利用します。
2023年現在の電力買取価格は16円/kWのため、年間で5000kWhを発電した場合、年間の収入は約8万円となります。
ただし、これはあくまで発電した電力をすべて売電した場合の価格のため、自家消費する場合はさらに収入が低くなります。
そのため、近年では発電した電力を売電するのではなく、すべて自家消費や蓄電に回す家庭も増えてきています。
・リース契約プランの事例
次に、リース契約プランの事例をご紹介します。
2人世帯(戸建住宅)の電気代平均は東京都環境局|東京都家庭エネルギー消費動向実態調査によると、月平均331kWh、年間3,972kWhとなります。
全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している「新電力料金目安単価」によれば、1kWhあたりの平均的な電気代は31円です。
上記のデータから2人世帯の年間電気代平均 = 3,972kWh × 31円 = 123,132円と仮定し、
5kWh太陽光リース利用により年間5,000kWh を発電し、3,972kWhを自家消費した場合に想定される収益額は
①太陽光リースを利用した場合
年間余剰売電=1,028kWh × 16円=16,448円の収入
年間リース料 = 120,000円/5kWh ー 16,448円 = 103,552円の支出
②太陽光リースを利用しない場合
年間電気代平均 123,132円の支出
①と②から、太陽光リースを利用すると、
▪︎ 1年で 19,580円
▪︎ 10年で 195,800円
支出を削減することが期待できます。
・リース契約が向いている方
<次に、リース契約が向いている方をご紹介します。
①住宅所有者
太陽光リース契約は、住宅所有者に向いています。自宅の屋根や敷地に太陽光パネルを設置し、自宅での電力需要を賄いたい場合に適しています。
②自己資金が限られている方
太陽光リース契約では、初期費用を支払わずに太陽光パネルを設置できます。資金が不足している場合でも、太陽光発電を利用できます。
③太陽光発電システムの特定のメーカーにこだわらない方
利用者が特定のメーカーを選択することができないことがほとんどですので、太陽光発電システムの特定のメーカーにこだわる場合は、他の購入オプションを検討する必要があります。
④エネルギーコストを削減したい方
電力を自家消費に使用したり、余剰電力を売電することで電気料金を削減できるため、エネルギーコストを削減したい方におすすめとなります。
【太陽光発電のPPAについて】
次に、PPAについて説明します。
PPAとは事業者が需要家の敷地や建物のスペースに、無償で太陽光発電設備を設置、維持管理して、電気を供給することを指します。
PPAの詳しい説明は、コチラをご覧ください。
【太陽光発電の屋根貸しについて】
次に、屋根貸しについて説明します。
太陽光発電の屋根貸しとは、個人や企業が自分の屋根スペースを事業者に貸出して、太陽光パネルを設置することを指します。
屋根所有者は通常初期費用を支払わずに、屋根スペースを提供し、契約期間中に電力料金の割引を受けるか、収益の一部を受け取ることができます。
契約により異なりますが、支払われる利用料は年間100円/平方メートル程度と、建物の所有者が得られる収入は多くありません。
・屋根貸しのメリットとデメリットについて
次に、屋根貸しのメリットとデメリットについて説明します。
・屋根貸しのメリット
①収益を得られる
屋根スペースを提供することで賃料を得ることができます。
②再生可能エネルギーの普及に貢献できる
太陽光パネルの設置により、再生可能エネルギーの普及に貢献することができます。
地球環境にやさしく、持続可能な電力を供給することができます。
③屋根スペースの活用
未使用の屋根スペースを有効活用することができます。
・屋根貸しのデメリット
① 撤去や屋根の修理に費用がかかる
契約期間が終了した際、太陽光パネルの撤去や屋根の修理が必要な場合があります。
その場合の費用は、基本的に貸主の負担となります。
② 契約解除が困難
基本的に契約期間中での中途解約ができないことが多くあります。
そのため、屋根貸しする際は長期的な計画をしっかり立てる必要があります。
・屋根貸し契約プランの事例
次に、屋根貸し契約プランの事例を紹介します。
50kw以上の場合、法律に定められた義務的経費が発生します。
ここでは簡単に説明するために49kwの太陽光発電システムを設置する場合をご紹介します。
あくまで目安としてご覧ください。
5kwの太陽光発電システムを設置するのに必要な屋根面積は、約50㎡です。
屋根貸しの賃料が年間100円/㎡である場合
▪︎ 1年で5,000円
▪︎ 20年で100,000円
が賃貸収入となります。
・屋根貸しが向いている方
屋根貸しは基本的に得られる収入が少ないため、一般家庭にはおすすめできません。
ただし、大きな平屋の家や工場など、屋根が大きく広範囲がデッドスペースとなってしまっている建物の場合は、候補の一つとして検討することをおすすめします。
【太陽光発電の自己所有について】
次に、自己所有について説明します。
太陽光発電設備を自身で購入・設置し、運用します。
設備の運用・管理・保守に手間や費用がかかりますが、設備も発電した電気も自由に利用することができます。
・自己所有のメリットとデメリットについて
次に、自己所有のメリットとデメリットについて説明します。
・自己所有のメリット
①不動産の価値があがる
太陽光発電設備は不動産の一部として評価されるため、不動産の価値があがります。
②電気料金を抑えることができる
発電した電気を利用することで、電力会社から購入する電気が少なくなるため、電気料金を下げることができます。
また、蓄電池も併用することで、災害時の非常用電源やEV車の充電などにも利用することができます。
蓄電池につきましては、コチラで詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。
③短期間で投資回収ができる
太陽光発電の利回りは約10%と他の投資と比べて高いため、大体10年から15年程度で資金を回収できます。
・自己所有のデメリット
①初期投資費用が高額
太陽光発電設備を自己所有するためには、高額な初期投資が必要となります。
導入する規模によって費用は大きく変わりますが、一般家庭の屋根に取り付ける場合、1kW辺り26万円程となります。
※出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」
一般家庭で取り付ける場合の太陽光パネル容量は大体4.5kW〜6kWのため、初期費用の目安としては、117万円から156万円程となります。
②メンテナンスが必要
太陽光発電設備は屋外に設置されるため、定期的にメンテナンスをおこなわないと発電効率が下がってしまいます。
また、台風などの自然災害で設備が破損してしまうこともあります。
・自己所有に向いている方
次に、自己所有に向いている方をご紹介します。
①電気料金を抑えたい方
自家発電することで、将来的に電気料金を抑えることができます。
▪︎太陽光設備を保有せず、年間3,972kWhの電力を使用した場合
3,972kWh × 31円 = 123,132円
▪︎5kWh太陽光設備を所有し、年間5,000kWhを発電・3,972kWhを自家消費した場合には、
自家発電した電力を使用できるため、電気代の支払いは0円となります。
以上から、年間で約123,132円電気料金を削減することが期待できます。
②売電収入を得たい方
発電した電力を売電することで、一定の収入を得ることができます。
5kWh太陽光設備を所有し、年間5,000kWhを発電・年間1,028kWhの余剰売電が発生した場合
1,028kWh × 16円=16,448円が1年間の売電収入となります。
以下、各モデルをまとめます。
【まとめ】
今回は太陽光発電の導入モデルについてご紹介させていただきました。
太陽光発電は導入モデルによって、初期費用や利益額に大きな違いがあります。
特にリースやPPAでは契約内容をよく確認せずに契約してしまい、後悔されている方もいらっしゃいます。
一方で、自己所有であれば初期費用はかかりますが、契約に縛られず自由に運用することが可能となります。
久野商事では設備の購入から、設置工事、電気工事まで一貫しておこなっているため、太陽光発電にご興味のある方はぜひお問い合わせください。