2022.01.19
太陽光
メガソーラーの運用について【徹底解説】
更新日:2023/11/01
みなさん、こんにちは。
久野商事株式会社の久野でございます。
近年、温室効果ガスを排出することなく、枯渇もしない再生可能エネルギーが注目されています。
中でも、日本では気軽に始められる太陽光発電が人気で、郊外に大量のソーラーパネルが並んでいる様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そんな太陽光発電システムの1つ、「メガソーラー」がどういったものかご存じでしょうか?
今回は、メガソーラー発電所を設置するメリット・デメリットや導入事例、今後の課題についてご紹介します。
目次
メガソーラーについて
はじめにメガソーラーについて説明します。
メガソーラーとは、1,000kW以上の発電規模を持つ産業用の太陽光発電所のことを指します。
住宅用の太陽光発電設備と違い、発電量が非常に大きく、未利用の広大な土地や大きな工場の屋根に設置します。
容量1,000kWのメガソーラーを設置する場合、250Wの太陽光パネルで敷き詰めると太陽光パネルは4,000枚必要になります。
また、約2ヘクタールもの土地が必要になるので、山や遊休地、ゴルフ場などに設置するケースが多いです。
メガソーラーのメリット
次に、メガソーラーのメリットについて説明します。
余った土地を有効活用できる
1つ目のメリットは遊休地やゴルフ場など利用していない広大な土地にメガソーラーを運用することで有効活用できることです。
土地は所有しているだけで固定資産税や都市計画税がかかります。
メガソーラーを運用し、活用することで田舎などでも場所を選ばずに収入を得ることができる可能性があります。
脱炭素社会に有効
2つ目のメリットは、脱炭素社会に有効であることです。
脱炭素社会とは、地球温暖化や気候変動の原因である温室効果ガスのうち、1番排出量の多い二酸化炭素(CO2)の排出量を「実質ゼロ」を目指す社会のことを指します。
太陽光発電は二酸化炭素(CO2)排出量がゼロのクリーンなエネルギーであるため、
石炭などを燃やすことでCO2を発生してしまう火力発電を太陽光発電に置き換えることで温室効果ガスの削減も期待できます。
企業のイメージアップに繋がる
3つ目のメリットは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを企業として導入することで環境問題に配慮した取り組みを行っていることをアピールすることができます。
近年、ESG経営・ESG投資という言葉が話題になっています。
ESGとは、E:Environment(環境)、S:Social(社会)、G:Governance(企業統治)の頭文字を取った言葉のことです。
今、企業が長期的に成長する考え方として日本だけでなく世界規模で広がっています。
ESGの代表的な例として太陽光発電の導入が挙げられます。
太陽光発電はESG投資と相性が良く、さらに環境配慮をしていることからSDGs(持続可能な開発目標)とも深く関連しています。
実際に太陽光発電を導入する企業も増えており、環境問題に配慮している会社であることをアピールする企業も多くあります。
節税対策となる
4つめのメリットは節税対策になることです。
発電した電気を使用したり、売電したり、することで利益を安定して生み出すことができます。
また、太陽光発電所は固定資産のため、減価償却の対象になります。
法定耐用年数の17年間は経費として計上することができるため、節税につながります。
メガソーラーのデメリット
メンテナンス費用が掛かる
まず1つ目は、メンテナンス費用が掛かるというものです。
太陽光発電を運用するにはどうしても設備の保守点検や、除草、防草などのランニングコストがかかってしまいます。
太陽光パネルの洗浄方法については、コチラをご参照ください。
近隣住民のトラブル
メガソーラーの設置には2ヘクタール前後のとても広い土地が必要になるため、景観が害されてしまう可能性があります。
さらに、台風など強風が吹くことでパネルが飛ばされて家が破損してしまい近隣住民とのトラブルが起きてしまう可能性もあります 。
電力会社による出力抑制される可能性がある
太陽光発電の出力抑制(制御)とは、発電設備などの電力系統からの出力を電力会社が電力の需要と供給のバランスを取ることを指します。
電力需要が下がった昼間などの時間帯で供給量がオーバーすると、需要と供給のバランスが崩れてm周波数に乱れが生じて、最悪の場合停電が発生してしまいます。
地域によっては抑制時間が長く設定されていて、売電収益に大きく影響を与えてしまう可能性があります。
高圧発電所の設置を検討している方は、設置場所も入念にリサーチする必要があります。
盗難される危険性がある
近年、太陽光発電所を狙った盗難が相次ぎ、業界全体で問題になっています。
メガソーラーは土地が広大な分、管理が行き届かず、盗難の被害になる可能性が高いです。
太陽光発電の盗難対策については、コチラをご覧ください。
国内のメガソーラー導入事例について
次に、メガソーラーを導入している企業事例についてご紹介します。
関西国際空港
関西国際空港では「環境先進空港」を目標に掲げ、4000メートルある滑走路の脇にメガソーラーを設置して空港内でクリーンエネルギーによる環境事業に取り組んでいます。
発電能力は11.6MV(メガワット)あり、5万枚以上の太陽光パネルが敷き詰められていて、大阪府だけでなく、空港内の太陽光発電設備ではアジア最大規模です。
さらに、太陽光の反射を抑えるパネルを採用することで航空機の運航に悪影響を及ぼさないような工夫もされています。
扇島太陽光発電所
扇島太陽光発電所は、神奈川県川崎市川崎区扇島にある太陽光発電所で、東京電力ホールディングスが開発・運営しています。最大出力は13,000kWを誇り、年間発電量は1,370万kWの超大規模メガソーラーです。
兵庫・姫路メガソーラー発電
セラと東京センチュリーリースの共同出資会社である京セラTCLソーラー合同会社が兵庫県姫路市の塩田跡地に建設したメガソーラー発電所です。
約12万6000㎡の土地に京セラ製のパネルを3万9600枚設置しており、年間予想発電量は約1216万kWh相当、その全部を関西電力に売電しています。
加西市逆池水上メガソーラー発電所
兵庫県加西市にある逆(さかさま)池の水上にある、出力約2.3MVの世界最大規模水上メガソーラーです。
水上に設置することで、得られるメリットが3つあります。
1つ目は、建設時の整地や除草をするコストを削減できることです。
2つ目は、池の水が太陽光パネルを冷やすことで出力をしやすくすることができます。
3つ目は、太陽光パネルが水面を覆うことで、藻などの水草の異常発生を防ぐ効果が期待できることです。
水上太陽光発電については、コチラで詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。
中部電力
中部電力では、現在日本国内3都市にて、メガソーラー発電を稼働させています。
現在、電力会社では再生可能エネルギー普及という目標を掲げている中で、中部電力の場合は自社でも保有しています。
例) 長野県飯田市 出力1,000kW
例) 静岡県静岡市 出力8,000kW
例) 三重県三重郡 出力7,500kW
メガソーラーの導入費用について
調達価格等算定委員会の「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」によると、
太陽光発電設置の費用として、10kW以上の平均値は23.6万円/kWで、前年度より1.2万円/kW減っています。
運用終了後のメガソーラーについて
20年間の運用を終了した後のメガソーラーで活用した土地やパネルなどの材料はその後、どのように活用するべきなのか事例を含めて紹介します。
セカンダリー物件として土地を販売する
半導体の不足により太陽光パネル、パワコンや架台などの部材が高騰しているため、新設の太陽光発電所設置が減少しています。さらに固定買取価格が低下していることもあり、セカンダリー物件の需要が上がっています。
そのため、販売価値が大幅に下がることがなく、高い売却益を獲得できる見込みがあります。
セカンダリー物件の売買についての記事はコチラになります。
太陽光発電パネルのリサイクル
有益なアルミなどの金属やガラスなど、再利用が可能な資源を回収できます。
そのため、利用し終わった(不要になった)太陽光パネルもリサイクル対象になるため、すぐに埋め立て処分へ回すのではなく、廃棄を検討する際には必ず、リサイクルを検討する必要があります。これは実際に環境省がガイドライン「太陽光発電設備を廃棄処理する際の留意点について」で公表しています。
詳しくは環境省の太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインをご参照ください。
メガソーラーの課題について
今回はメガソーラー運用におけるメリット・デメリットや事例を交えて説明させていただきました。
メガソーラー設置には広大な土地が必要になります。
そのため、設置するために山や森を切り開くケースがあります。
環境に配慮した取り組みとして太陽光発電を取り入れたのに、太陽光発電をするために環境破壊をしてしまっているのではないかという矛盾が生じています。
今後再生可能エネルギーを普及させていくために、解決しなければいけない課題の一つと言えます。
久野商事ではセカンダリー案件の紹介から太陽光発電所の設置する際に必要な架台やパワコン、フェンスなどを提供しています。
また、工事についても対応してますのでお気軽にお問い合わせください。