2023.10.31
お役立ちコラム 太陽光
太陽光発電のオフサイトPPAモデルについて徹底解説
更新日:2023年10月31日
みなさん、こんにちは。久野商事株式会社の久野でございます。
昨今、環境保護とエネルギーコスト削減の重要性が広く認識され、多くの企業が再生可能エネルギーを導入する取り組みを行っています。
いくつかある再生可能エネルギーの中でも、導入のハードルが比較的低く、人気を集めているのが太陽光発電になります。
その太陽光発電を、初期費用0円で始められる「PPA」契約が注目されています。
PPA契約とは、発電した電気を固定価格買取制度を利用し売るのではなく、自社設備で使用する「自家消費型太陽光発電モデル」の一つで、地域や契約の条件など、さまざまな種類があります。
今回はPPAのうち、「オフサイトPPA」にクローズアップしてご説明します。
目次
太陽光発電のオフサイトPPAモデルについて
はじめに、太陽光発電のオフサイトPPAモデルについて、ご説明します。
事業者が「契約者以外が所有する土地」に太陽光発電設備を設置し、送電線を通して契約者に電気を供給する手法を、オフサイトPPAといいます。
また、オフサイトPPAは「発電設備の所有者」と「契約者」が異なります。
この場合、「小売電気事業者」による売買仲介が必要であると、日本の法律で定められています。
ちなみに、敷地外であっても「発電設備の所有者」と「契約者」が同じであり、同一法人内に電力が供給される場合は「自己託送」と言い、「小売電気事業者」による売買仲介は不要となります。
オフサイトPPAとオンサイトPPAの違いについて
次に、オフサイトPPAとオンサイトPPAの違いについてご説明します。
設置場所
オフサイトPPAとオンサイトPPAの一番の違いは、太陽光発電設備の設置場所です。
オフサイトPPAは敷地外に、オンサイトPPAは自社の屋根の上や敷地内に太陽光発電設備を構えます。
発電量が限られる
オンサイトPPAの場合、自社の敷地面積が限られるため、発電量が制限されます。
一方、オフサイトPPAは自社の敷地面積に縛られず、広い土地を確保することができるため、発電量に制限がありません。
したがって、オフサイトPPAは電気使用量の多い大企業が取り入れるケースが多くなっています。
電気代
オフサイトPPAは、送電線の利用料金(託送料金)が発生します。
さらに、小売電気事業者から送電線を通して供給された電気であるため、再エネ賦課金の徴収対象となります。
導入のハードル
オンサイトPPAは、自社の敷地内に設置するためすぐに導入できます。
一方、オフサイトPPAは土地探しから行う必要があるため、導入のハードルはオンサイトPPAよりも高くなります。
オフサイトPPAのメリットについて
次に、オフサイトPPAのメリットについて説明します。
初期費用0円で導入できる
太陽光発電設備はPPA事業者の所有物であるため、契約者は太陽光設備の設置にかかる初期費用を負担する必要がありません。
維持管理が不要
初期費用同様、設備維持もPPA事業者がおこなうため、メンテナンス費用がかかりません。
電気代を抑えられる
オンサイトPPAと同様、オフサイトPPAの電気料金は契約時に決定します。
小売電気事業者からの購入金額より安く契約を結ぶことができれば、その分電気代を安くすることができます。
複数の場所に供給できる
オフサイトPPAでは、発電した電気を小売電気事業者を通し、送電線を利用して供給します。
そのため、遠隔地や複数の場所に送電することができます。
敷地内に設置できなくても導入できる
オンサイトPPAと違い、敷地外に太陽光発電設備を設置することができるため、敷地内に太陽光設備の設置スペースがなかったり、塩害地など設置が困難な場合でも導入することができます。
大量に発電できる
広大な土地を確保することができれば、その分だけ発電量を増やすことができます。
CO2削減に貢献できる
太陽光発電はCO2を排出しない、クリーンなエネルギーです。
PPAにより、太陽光発電の導入が促進され、CO2排出量の削減につながります。
企業のイメージアップにつながる
企業が、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入をアピールすることで、世間からのイメージアップにつながります。
オフサイトPPAのデメリットについて
次に、オフサイトPPAのデメリットについて説明します。
長期契約が必要
PPA契約は、一般的に10~20年と長期にわたる契約が必要となります。
契約期間中に移動や廃棄をする違約金が発生する
PPA契約中、太陽光設備の所有権はPPA事業者にあります。
契約者は、事業所の移転、転売などの際に、勝手に移動や撤去することができません。
オンサイトPPAよりも電気代削減効果が小さい
オフサイトPPAは送電線を利用して電力を供給します。
送電線の利用料(託送料金)が加算される分、オンサイトPPAより電気料金が高くなります。
再エネ賦課金が発生する
小売電気事業者から購入した電気は、再エネ賦課金の徴収対象となります。
小売電気事業者による仲介が必要なオフサイトPPAは再エネ賦課金の対象になるため、その分オンサイトPPAより電気料金が高くなります。
非常用電源として利用できない
オフサイトPPAは送電線を利用して電力を供給します。
非常時、送電線が断線すると、電力を供給することができなくなります。
オフサイトPPAの補助金について
次に、オフサイトPPA導入に活用できる補助金を一部ご紹介します。
需要家主導による太陽光発電導入促進補助金及び再生可能エネルギー併設型蓄電
経済産業省により公募されている、2MW以上の太陽光発電所を運用する「発電事業者」が対象の補助金制度になります。
導入費用の「最大2/3の補助」が受けられる制度になります。
令和5年度の予算額は105億円でした。
令和4年度補正予算、令和5年度予算ともに公募終了しており、二次募集の公募が行われるかどうかは未定です。
申請に際し、事前にID取得が必要で、IDの取得には通常約1週間ほどかかるため、申請期間には注意が必要です。
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
こちらの補助金は環境省により公募されている、
「売電不可民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」のうち、 (2) 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ③オフサイトからの自営線による再エネ調達促進事業が、オフサイトPPA対象の補助金制度になります。
オフサイトPPA事業者が、太陽光発電設備を新規導入し、自ら敷設した送電線により電力調達を行う取組について、送電線導入費用の「1/2の補助」が受けられる制度になります。
この制度は、令和5年度から公募が開始され、補助金の上限金額は1億円とされています。
なお、令和5年度予算について、1次公募は終了、2次公募については中止となりました。
オフサイトPPAの導入事例について
次に、オフサイトPPAの導入事例についてご紹介します。
2021年、株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下:セブン&アイ)と日本電信電話株式会社(以下:NTT)は、日本で初めてオフサイトPPA契約締結を発表しました。
NTTが設置した「千葉若葉太陽光発電所」で発電された電力が、セブン&アイグループの首都圏40店鋪へ、20年間供給されます。
「千葉若葉太陽光発電所」の規模は約0.8MW、年間発電量886MWh(一般家庭200〜300世帯分の使用料に相当)にのぼり、電力不足分はNTTグループの他の再生エネルギー発電所の電力で補われます。
オフサイトPPA事業は今後も拡大する見込み
セブン&アイは2050年までに、国内外の事業で使う電気を再生可能エネルギー100%に移行する方針です。
このように、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目指す取り組みは、「RE100(Renewable Energy 100%)」と呼ばれ、セブン&アイ以外にもAppleやIKEAなど、国内外の有名企業が賛同し、脱炭素化に向けて広がり始めています。
太陽光発電の普及を促進するのに有効なPPA契約ですが、RE100の目標を達成するにはオンサイトPPAだけでは難しく、RE100加盟企業を中心に、今後もオフサイトPPAの需要が拡すると予想されます。
久野商事では、太陽光発電所に設置が義務化されているフェンスをはじめ、雑草対策に最適な防草シートや太陽光架台などの太陽光関連資材を豊富に取り揃えております。
太陽光発電に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。