2023.04.27
お役立ちコラム 太陽光
太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について【徹底解説】
更新日:2023年4月27日
みなさん、こんにちは。
久野商事の久野です。
世界中で環境問題に対して取り組む中で日本でも再生エネルギーが注目されています。
特に太陽光発電の普及率が一番高く、最近は住宅の屋根に太陽光発電をおこなう家庭も増えてきています。
みなさんは稼働停止した太陽光発電の太陽光パネルが廃棄される仕組みをご存知でしょうか。
一般的に太陽光パネルは、専門業者に依頼して産業廃棄物として廃棄されます。
現状の課題として、国内で廃棄施設が不足しているため、廃棄費用は高騰しています。
そこで今回は、太陽光パネルの廃棄する費用を積み立てる仕組みについて解説していきます。
目次
廃棄等費⽤積⽴制度とは
廃棄等費⽤積⽴制度は、太陽光発電設備を廃棄する費用を積み立てる制度になります。
当初は太陽光発電設備の廃棄費用は固定価格買取(FIT)制度の買取価格に含まれていました。
しかし、実際に廃棄費用を積立している事業者は全体の2割程度で浸透していないのが現状になります。
そこで、太陽光パネルには鉛やセレンなどの有害物質が含まれており、発電事業終了後に放置や不法投棄の懸念があるため、廃棄費用の積立が義務化されることとなりました。
廃棄等費用積立制度の対象について
廃棄等費⽤積⽴制度の対象は低圧や高圧にかかわらず、10kW以上のすべての太陽光発電事業になります。
原則、10kW以上であれば、全量売電・余剰売電問わず廃棄等費用積立制度の対象となります。
しかし、条件を満たせれば、例外的に内部積⽴てを許容してもらうことも可能になります。
特徴として、廃棄費用はすでに売電価格に含まれているため、追加で費用が発生するということではありません。
そのため、実際に積立をしている事業者は全体の2割程度になりますが、ほとんどの事業者の売電収入が減ってしまう可能性があります。
また、積立の時期は調達期間または交付期間の終了前から10年間となり、買取金額から解体等積立金を引くため源泉徴収的な外部積立で毎月積立てられます。
ただし、FIP認定事業で積⽴不⾜が発⽣した場合は、当該不⾜分は1年分まとめて積立られる形になり、FIT(固定価格買取制度)とFIP(Feed-in-Premium制度)で積立方法が変わる場合があります。
尚、FIPについては「FIP制度とは? FIT制度との違いを徹底解説」にて説明しておりますので、ぜひご覧ください。
廃棄等費⽤積⽴の基準額について
実際にどれくらい費用が掛かるのか解説していきます。
以下、資源エネルギー庁の「廃棄等費用積立ガイドライン 2021 年9月公表」で公開しています。
認定年度 | 調達価格/ 基準価格 | 廃棄等費用想定額 | 認定設備利用率 | 自家消費比率 | 解体等積立基準額 | |
2019年度 | 入札対象外 | 14円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | – | 0.66円/kWh |
第4回入札 | 落札者ごと | 0.82万円/kW | 17.2% | – | 0.54円/kWh | |
第5回入札 | 落札者ごと | 0.78万円/kW | 17.2% | – | 0.52円/kWh | |
2020年度 | 10kW以上 50kW未満 | 13円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | 50% | 1.33円/kWh |
50kW以上 | 12円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | – | 0.66円/kWh | |
2021年度 | 10kW以上 50kW未満 | 12円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | 50% | 1.33円/kWh |
50kW以上 | 12円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | – | 0.66円/kWh | |
2022年度 | 10kW以上 50kW未満 | 11円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | 50% | 1.33円/kWh |
50kW以上 | 10円/kWh | 1.00万円/kW | 17.2% | – | 0.66円/kWh | |
2023年度 | 10kW以上 50kW未満 | 10円/kWh | 1.00万円/Kw | 17.2% | 50% | 1.33円/kWh |
50kW以上 | 9.5円/kWh | 1.00万円/Kw | 17.7% | – | 0.64円/kWh |
例えば、2022年に50kWの太陽光パネルを設置した場合の大まかな積立金額は以下の通りとなります。
積立金の取り戻しについて
積立金は積立てた金額から、取り戻しとして払い戻される場合があります。
その場合は、廃棄処理することを証明する資料の提出が必要になります。
また、発電事業者の状況によって積立金の取り戻し条件と取り戻し可能な金額が異なります。
詳しくは下記表をご参照ください。
引用元:太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について
廃棄等費⽤積⽴の対策について
前提として廃棄等費⽤積⽴制度が始まった場合、毎月の売電収入から積立金が引かれていきます。
そのため、これまでと同水準の売電収入を得るためには売電収入を増やす必要があります。
ここでは売電収入を増やす方法について紹介していきます。
リパワリング
リパワリングは経年劣化した設備を新しい設備と入れ替えることで、出力の増強を図ることをいいます。
一般的にパワーコンディショナーの寿命は10年から15年程度になりますが、経年劣化することで変換効率が下がっていきます。
しかし、リパワリングをおこなうことで、発電量が110%〜115%程度は上昇する可能性があります。
尚、リパワリングについて詳しく知りたい方は、コチラからご覧ください。
パネル洗浄
太陽光モジュールにほこりなどのゴミや鳥などの糞などが付着し、影ができることで太陽光があたらず、発電効率が落ちてしまいます。
そのため、パネルの洗浄をおこなうことで、太陽光発電の設置場所により発電量は変わりますが、約2〜3年で約20%上がった事例もあります。
雑草対策
雑草を放置した場合、伸びた雑草が影になり発電効率が落ちたり、ホットスポット現象が起こり、火災に繋がる可能性があります。
基本的に雑草対策は年に4回の頻度で大規模な草刈りをおこなったり、防草シートを敷いて対策するなどいくつか方法があります。
尚、ホットスポット現象についてはコチラから、雑草対策についてはコチラに詳細を説明しています。
両面太陽光モジュールを設置
両面の太陽光モジュールを設置することで太陽光が上に当たるのみならず、太陽光の反射が下からでも発電することが可能になります。
そのため、通常の太陽光モジュールよりも効率よく発電が可能になります。
注意として下からも太陽光が反射するため、地面に反射シートや雑草対策として防草シートを敷く必要があります。
しかし、モジュールも2倍になるため、初期費用が高くなるデメリットがあります。
まとめ
今回、2022年7月に始まった、廃棄等費⽤積⽴制度について解説してきました。
太陽光パネルの廃棄を検討されている方は事前に制度を把握することで、不法投棄や違法なパネルの輸出などを防ぐことにもつながります。
尚、久野商事では、太陽光発電所で設置が義務化されたフェンスや地面の雑草対策として有効な防草シートを取り扱っております。
そのほか太陽光発電に関して、ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください。