更新日:2022/11/10
みなさん、こんにちは。久野商事の久野です。
今回は太陽光発電所を設置する際に悩まされる問題「雑草対策」について説明していきます。
雑草は雨や太陽の光などによって成長していきますが費用によって対策方法が異なります。
今回は代表的な対策方法と費用について解説しますので最後までご覧ください。
目次
雑草対策が必要な理由
はじめに雑草はとても生命力が強く、定期的にメンテナンスを行わないとすぐ繁茂します。
雑草を放置することで多くの問題が発生します。
発電効率低下
雑草の中には1mを超えて成長する植物があります。
伸びた雑草が原因で太陽光パネルに影ができることがあります。
影の影響により太陽光があたらなくなり、発電効率が落ちてしまうため、結果として発電量が下がってしまいます。
火災発生
上記の理由以外にも電気抵抗が大きくなります。
電気抵抗が大きくなることで電気の流れが悪くなり、発熱を起こします。
発熱により太陽光パネルがショートして、発電ができなくなります。
この現象をホットスポット現象といい、火花が雑草に落ちることで出火、火災につながります。
ホットスポット現象についてはコチラで詳しく説明しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
また、太陽光パネル以外にパワコンなどのその他資材の周辺に雑草のつるが架台に絡んでしまい、資材の内部が故障し、ショート・火災が発生することもあります。
不法投棄
雑草が伸びている土地は監視がなく、外見として管理がされていない土地として判断されてしまい、不法投棄の温床となる可能性があります。近くに民家などがある場合は近隣住民とのトラブルにもなりかねませんので、注意が必要になります。
獣害被害
雑草を放置することで、草の種や実がなります。
その実や種を求めて鳥や虫が集まり、大量発生につながっていきます。
又、雑草が茂ることで小動物のすみかにされることにもつながります。
獣害の発生は近所の住宅からのトラブルにもつながりますし、配線を噛み、漏電に至ることもあります。
雑草を刈るだけでは獣害対策としては十分ではありません。
他の獣害対策について気になる方はぜひ「今スグ始める効果的なイノシシ対策 農業や酪農をイノシシから守る!」をご覧ください。
盗難被害
近年、太陽光発電設備で使われている送電ケーブルは高価な取引ができるため、盗難被害が増えています。
2022年3月24日に群馬県太田市にある太陽光発電所で銅線のケーブルおよそ1,300万円相当が盗まれているのが見つかり、警察は窃盗事件として捜査しています。
管理している太陽光発電所でも起きているため、みなさんもご注意ください。
出典:NHK 群馬 太田 太陽光発電所で銅線ケーブル盗難 約1300万円相当
太陽光発電所の盗難についてはコチラで詳しく説明しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
雑草対策の事前準備
雑草対策をおこなうためには生えている雑草を事前に除去する必要があります。
ここでは事前準備としておこなう「草刈り作業」について代表的な3つの方法を説明します。
草刈り鎌
まずは草刈り鎌を利用する方法になります。
草刈り鎌で雑草を除去する場合、必要な道具は軍手と草刈り鎌だけのため、他の方法に比べて初期費用を安く済ませる事ができます。
ただし、一つの施設すべてを草刈り鎌で雑草処理をするのは労力がかかりすぎて現実的ではありません。
草刈り鎌は草刈り機では刈り取りづらい場所など限定的に利用することをおすすめします。
ガソリン式草刈機
ガソリン式草刈機は力が強く、長時間作業に適しており、敷地が広い太陽光発電所に適しています。
一方で草刈り中に飛び石などでケガをしたり、太陽光パネルが破損したり、配線された送電ケーブルを切断してしまうリスクもあるため、注意が必要になります。
バッテリー式草刈機
バッテリー式草刈機はモーターで動くため、ガソリン式の草刈り機よりも軽いため、使いやすい点が特徴になります。一方で駆動時間が短いため、予備のバッテリーを用意したり、短時間で作業を行う必要があります。
また、極端に高温の場所や低温の場所に長時間放置した場合、バッテリーが劣化し、動かなくなることもあるため、注意が必要になります。
雑草対策の種類
ここからは7種類の雑草対策について説明していきます。
防草シート
雑草対策として良く利用される手法になります。
防草シートを地面に敷くことで、太陽光が遮断され、雑草の育成を阻害することができます。
また、防草シートは多数のメーカーから販売されており、素材や耐用年数(耐候年数)、貫通に強いものなど様々な特徴があります。
価格も300円前後/㎡の物から900円前後/㎡の物など大きく違いますので、防草シートを敷く環境に合った防草シートを選ぶことが重要になります。
久野商事では環境に合った最適な防草シートを取り扱ってますのでご興味ある方はお問合せください。
砂利や砕石
砂利や砕石を敷くことで雑草対策を行うこともできます。
しかし、防草シートと比べて、光を通してしまうため強い雑草が生えてきてしまうことがあります。
景観を良くするために砂利や砕石を敷く場合は防草シートを敷いて、その上に砂利や砕石を敷くなど防草シートと併用することをおすすめします。
砂利や砕石を敷いた場合はその上に泥水などが付着することで、そこから雑草が発芽することがありますので、定期的にメンテナンスをおこなう必要があります。
費用は砂利・砕石の場合は約1000円/㎡〜約6000円/㎡程で、防草シート下に敷く場合は、約1,300円/㎡〜約6900円/㎡となります。
アスファルトやコンクリート
太陽光発電所内をアスファルトやコンクリートで覆うことで高い防草効果を長期間得ることができます。
しかし、雑草はとても強力なため、アスファルトやコンクリートでも貫通することがあります。
また、雨の日などにアスファルトやコンクリートの上に泥水が溜まって、そこから雑草が発芽する恐れもあります。
高い防草効果を得られる方法ではありますが、1㎡辺り約1万円以上とアスファルト・コンクリート舗装に費用掛かり、太陽光発電所を撤去する場合は撤去費用もあわせて掛かるため、あまりおすすめできません。
除草剤を散布
除草剤散布は個人で簡単にできる定番の雑草対策となります。
除草剤には「茎葉処理タイプ」と「土壌処理タイプ」があります。
「茎葉処理タイプ」は既に生えている雑草を枯らす除草剤であり「土壌処理タイプ」は雑草が生えるのを防止する効果があります。基本的に草刈りか「茎葉処理タイプ」で雑草を除去した後に「土壌処理タイプ」の除草剤を利用します。
除草剤は薬剤のため、種類によっては土壌汚染などの悪影響があります。
周辺に作物を育てている畑などがある場合は散布する場所が敷地内であっても取り扱いに注意してください。
グランドカバー
クローバーなどの背が高くならず、横に広がる植物で地面を覆うことを指します。
別の植物を植えておくことで、雑草を生えにくくする効果があります。
主にガーデニングや庭などで利用されています。
生物除草
ヤギなどの雑草を食べる動物を施設内で飼うことで動物に雑草を処理してもらう手法になります。
除草スピードは10㎡/日とあまり早くありませんが、雑草対策を行う必要がないため労力が少なく済みます。
ただし、太陽光発電設備とは別に動物を管理するための小屋を立てたり、雑草がない時のための餌を用意する必要があります。
遠方に太陽光発電所を設置する場合は、管理が手間になるためおすすめできません。
架台の高さ調整
雑草が届かないように架台を高くするという方法もあります。
しかし、架台を高くすると設置コストも高くなるため、ソーラーシェアリングなど特別な事情がない限りはあまりおすすめできません。
雑草対策の比較
本日ご紹介した雑草対策について、特徴と費用感を比較します。
対策方法 |
特徴 | 費用感 |
防草シート | ・太陽光を物理的に防ぐことで雑草の生育を阻害できます。 ・耐用年数は3年~20年で耐久性に問題がある製品もあります |
300円/㎡~900円/㎡ 防草シートの費用対効果が気になる方はぜひコチラからダウンロードしてください。 |
砕石・砂利 | ・防草効果は低いが、景観は良くなります。 ・下に防草シートを敷くことで防草しつつ、景観を良くすることが可能です |
1,000円/㎡〜6,000円/㎡ |
アスファルト・コンクリート | ・高い防草効果がありますが、撤去時に大きな費用が掛かります。 | 10,000円/㎡以上 |
除草剤 | ・草を枯らす物と雑草を生やさない物があります。 ・年3~4回程の作業が必要です |
数円/㎡~10円/㎡程度 |
グランドカバー | ・雑草が生えにくくなるだけで、まったく生えてこないわけではない ・種類によっては雑草と同様に縦に伸びるものもあるため、メンテナンスが必要です。 |
8,000円/㎡~10,000円/㎡ |
生物除草 | ・雑草除去の手間は省けますが、動物の管理が必要なため、飼育費用と世話をする人件費が掛かります。 | 購入の場合は4〜5万円/頭 + 飼育費用。 レンタルの場合は15,000円/頭 引用元:ヤギによる除草の現状と課題 |
※費用感はあくまで材料費の目安となります。送料や外注・施工費用は含まれておりません。
雑草対策のタイミング
ここまで雑草対策について説明してきましたが、対策時期について説明していきます。
基本的には雑草が成長し始める前の春から夏の期間に実施することが一般的ですが対策方法によって変わります。
対策方法 | 時期 |
防草シート | 4月~6月(透水性が低い防草シートの場合は梅雨明け後がおすすめです) |
砕石・砂利 | |
アスファルト・コンクリート | |
除草剤(土壌処理タイプ) | 2月~3月(雑草が生え始める前) 9月~10月(雑草が落ち着き始めた頃) |
除草剤(茎葉処理タイプ) | 4月~10月(雑草が十分に成長した頃) ※雑草の長さ30cm程度を目安に散布) |
グランドカバー | 種類によって異なります |
生物除草 | レンタルの場合は7月~10月(雑草が多く生え始める頃) |
まとめ
今回、太陽光発電所の雑草対策について説明させて頂きました。
これから太陽光発電事業を検討されている方は固定買取制度(FIT)の価格低下や円安による部材価格の高騰によるコストアップで雑草対策に費用を掛けることが難しい方もいるかと思います。
しかし、雑草が原因で余計に費用が掛かる可能性がありますので、必要経費として予算に組み込み、雑草対策を行うことをおすすめします。
久野商事では用途や環境に合わせて様々な防草シートを取り扱っており、資材購入から施工まで一括で請け負うことができます。
また、防草シート以外にもフェンスや架台の販売から設置工事も請けています。
セカンダリー案件のご紹介もしておりますので、ご興味のある方はぜひお問合せください。